平凡すぎる、と追放された俺。実は大量スキル獲得可のチート能力『無限変化』の使い手でした。俺が抜けてパーティが瓦解したから今更戻れ?お断りです
たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
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3章
45話 あっという間の探知魔法
しおりを挟むできるだけ短時間で事を運ばねば、より事態が悪化しかねない。
そこで俺たちは、役割を分担することとなった。
「ルリはまたここで治療か~。うん、やるしかないよねぇヒーラーのさだめ的な奴だし」
まずルリはここに残って治療。
「……うちは、『水を使わないように』って伝えてくる。が、頑張る」
そしてソフィアは、住民への呼びかけ。
内気な彼女には、ルリママが付き添ってくれるらしい。
ミリリはーーーー、
「わ、私、もう大丈夫だからねっ! ヨシュアと一緒に、山に入るよっ」
あくまで病み上がり。
置いていこうかと思っていたが、拳を握りしめ、俺を食い入るように見つめる双眸は気合十分だ。
「ほんとに大丈夫か? 無理してない?」
「うんっ! ヨシュアとルリちゃんのおかげでね。よーし、じゃあ急ごうっ!!」
ミリリは早速、駆け出そうとする。
「ちょっと待った」
俺は、はしっとその腕を掴んだ。
「……む。行くな~、とか言うんでしょ? どうしても、行きます~だ!」
「そうじゃないって。一緒に来てもらうつもりだよ」
ミリリのほっとした顔を見てから、俺はルリに問いかける。
「なぁ、どこかに大きな貯水槽とかって……ないか?」
「…………今は使ってない古井戸ならあるケド? もうどことも繋がってないやつ」
そういえば、来るときにも見かけていたっけ。
「それだ。よし、まずはそこだな」
「ヨシュっち、なにするつもりなの?」
「簡単なことだよ。そこに、水を溜めておくから、困ったらそっちを使ってもらってくれ」
今度こそ、俺はミリリを伴って、ルリの家を後にする。
人のいない通りに、ぽつんと目立つ古井戸を覗き込む。
多少の汚れはあったが、それは風魔法を使えば容易く除くことができた。
そして、
「水よ、我が申し出に答えて集まり、湖となれ。『大水召喚』!」
久しぶりの大技を発動してやった。
ミリリが強化魔法をかけてくれることにより、さらに勢いは増していく。
「……あっという間だ…………」
井戸に、目一杯の水が溜まった。
俺は上からそれを覗き込む。自分とミリリの顔が、綺麗に写り込んでいた。
水の純度は、魔法の精度に由来する。
上々の出来と言えよう。
「これ、生活用の水なら、悠に一ヶ月はみんな暮らせるんじゃない!?」
「って、半分はミリリのおかげだからな」
「私の補助魔法なんて、ちょこっとの話だよっ。ヨシュアすごすぎ…………。格好いいっ!
って、じゃなくて! うん、切り替えるよっ。よーし、山に乗り込みだ!」
「そうだな……。久々に、派手にやろうか」
誰一人として出歩いてないことが、魔法使用においては、まぁ都合がよかった。
俺は、すぐそばにそびえ立つ山々を見上げる。
用意をせずに突っ込めば、昼でも迷ってしまいそうなほど、木々が立派に茂っていた。
「なんか、嫌な感じがするよ、ヨシュア」
「ミリリもそう思うか」
魔物が寄り付かないはずの、ダンジョンの外。
けれど、鬱蒼とした緑からは、淀んだ空気がどろりと滲み出ている。
ヒールばかりに専念していて中にこもっていて、気づかなかったらしい。
「スキル発動『広範探知(高)』!」
「で、でたっ。激レアスキル! 数百万人に一人とかっていうーー」
それ、もうサーニャが言ってるから。
思いつつ、俺は魔物の発する瘴気を探知していく。
……なぜか、サンタナの魔力を感知した。
よからぬことが起きている気がしたが、ひとまずは後だ。
探知を続けて、見つけた。
森の中で唯一、瘴気が限りなく薄い地点である。そこだけは、むしろ清らかにさえ思える。
「なにがあるかは分からないけど、当たりはついたよ」
「さっすがヨシュア!」
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