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本編
41 似た者同士
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*今回は短いです*
『あのクズ共、うちの可愛いサクヤ(様)に何してくれてんだーーー!!』
その日、皇城と大公家ではほぼ同時に絶叫が響き渡った。
折しも、皇兄である大公が所用のため登城しており、執務室では2人が膝を突き合わせて打ち合わせをしている真っ最中であった。
そんな中もたらされた食堂での騒動。
側近から受け取った調書を読み進めていくにつれて、どんどん表情が険しくなっていく二人。
最後まで読み終えてからの第一声がこれ。
同時期に大公家にも影から連絡が入り、邸中の者が同じように叫んだのである。
「如何してくれようか、兄上?」
「如何してやろうかねえ、弟!」
「まだまだ我慢ですよ、陛下」
「もっと既成事実を集めて、最後にガツンとですって」
・・・もの凄ーくヤバい悪巧みを企てるように側近達も率先して煽っている。
たまたまお茶の準備で居合わせた侍従は、この時の様子を後にこう語った。
『大魔王二人と四天王が世界を破滅に導く作戦を計画しているようだった』
執務室は魔境と化していたらしい。
そして大公家。
華恋様と邸の影達、使用人。
大広間に集まった者達(リオウ様は初等科で不在)全員がクズ共の所業を聞き、憤った。
そんな時、各務から侍医の派遣を求める火急の知らせが入った。
サクヤ様が体調を崩して熱があると。
一応、養子先の皇帝陛下にもお伺いを立てているため、相談の上、派遣して欲しいと。
華恋様が皇城に確認を取ると、どちらが派遣するかで揉めているらしい。
「はあ? そんなのどっちでもいいからサクヤちゃんの為に早く派遣しなさい! 皇妃様にも連絡をしてちょうだい! あの方も絶対そう思うから!!」
普段おっとりしている方が怒ると恐いのだ。
それは皇妃様も同じ事。
案の定、雷を落とされて、当たり障りのない大公家からの派遣に決まったのは要請から30分も経ってからだった。
「爺、ちょっと辛いだろうけど、サクヤちゃんの為に頑張ってちょうだい!」
結構な高齢である侍医は、しかしサクヤ様を孫のように思っていたので二つ返事でオーケーした。
「ほっほ。老骨に鞭打ってでも参りますぞ」
「貴方たちもお願いね」
「御意」
そして影の中でも身体強化を得意とする精鋭数名で、安全を確保しつつ迅速なリレー方式でサクヤ様の元へと届けられた。
診察の後、同じように大公家へと戻っていった侍医は、事細かにサクヤ様の様子を伝えて、それを影が皇城に居る大公にも伝えた。
サクヤの様子を聞いたリオネルとライナスはひとまずほっとした。
だが、原因となった例のクズ共に腸が煮えくりかえるようだった。
それは側近も同じで、今回だけで、何度脳内でクズ共を葬ったか。
執務室は未だ魔境だった。
その後、サクヤの容態が落ち着いたと連絡があり、漸く何時もの執務室に戻ったのだった。
大公家でも同じようにほっとしたのは言うまでもない。
ひとり蚊帳の外だったリオウが帰宅後にその話を聞いて暫く拗ねたことを付け足しておく。
『あのクズ共、うちの可愛いサクヤ(様)に何してくれてんだーーー!!』
その日、皇城と大公家ではほぼ同時に絶叫が響き渡った。
折しも、皇兄である大公が所用のため登城しており、執務室では2人が膝を突き合わせて打ち合わせをしている真っ最中であった。
そんな中もたらされた食堂での騒動。
側近から受け取った調書を読み進めていくにつれて、どんどん表情が険しくなっていく二人。
最後まで読み終えてからの第一声がこれ。
同時期に大公家にも影から連絡が入り、邸中の者が同じように叫んだのである。
「如何してくれようか、兄上?」
「如何してやろうかねえ、弟!」
「まだまだ我慢ですよ、陛下」
「もっと既成事実を集めて、最後にガツンとですって」
・・・もの凄ーくヤバい悪巧みを企てるように側近達も率先して煽っている。
たまたまお茶の準備で居合わせた侍従は、この時の様子を後にこう語った。
『大魔王二人と四天王が世界を破滅に導く作戦を計画しているようだった』
執務室は魔境と化していたらしい。
そして大公家。
華恋様と邸の影達、使用人。
大広間に集まった者達(リオウ様は初等科で不在)全員がクズ共の所業を聞き、憤った。
そんな時、各務から侍医の派遣を求める火急の知らせが入った。
サクヤ様が体調を崩して熱があると。
一応、養子先の皇帝陛下にもお伺いを立てているため、相談の上、派遣して欲しいと。
華恋様が皇城に確認を取ると、どちらが派遣するかで揉めているらしい。
「はあ? そんなのどっちでもいいからサクヤちゃんの為に早く派遣しなさい! 皇妃様にも連絡をしてちょうだい! あの方も絶対そう思うから!!」
普段おっとりしている方が怒ると恐いのだ。
それは皇妃様も同じ事。
案の定、雷を落とされて、当たり障りのない大公家からの派遣に決まったのは要請から30分も経ってからだった。
「爺、ちょっと辛いだろうけど、サクヤちゃんの為に頑張ってちょうだい!」
結構な高齢である侍医は、しかしサクヤ様を孫のように思っていたので二つ返事でオーケーした。
「ほっほ。老骨に鞭打ってでも参りますぞ」
「貴方たちもお願いね」
「御意」
そして影の中でも身体強化を得意とする精鋭数名で、安全を確保しつつ迅速なリレー方式でサクヤ様の元へと届けられた。
診察の後、同じように大公家へと戻っていった侍医は、事細かにサクヤ様の様子を伝えて、それを影が皇城に居る大公にも伝えた。
サクヤの様子を聞いたリオネルとライナスはひとまずほっとした。
だが、原因となった例のクズ共に腸が煮えくりかえるようだった。
それは側近も同じで、今回だけで、何度脳内でクズ共を葬ったか。
執務室は未だ魔境だった。
その後、サクヤの容態が落ち着いたと連絡があり、漸く何時もの執務室に戻ったのだった。
大公家でも同じようにほっとしたのは言うまでもない。
ひとり蚊帳の外だったリオウが帰宅後にその話を聞いて暫く拗ねたことを付け足しておく。
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