好きな事だけやる 小説一覧
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花火大会の場所取りをしていたはずの主人公は、牛乳を飲み、煙草に火をつけた直後、振り返った景色が“見知らぬ山の中”へとすり替わっていることに気づく。姉たちも車も消え、スマホは圏外。夢や解離を疑うが、鞄・レジャーシート・クーラーボックスなど荷物だけはそのまま残り、否応なく現実として受け止めるしかなくなる。
混乱と不安を抱えながらも、ここ数日見ていたサバイバル動画の知識を頼りに「火/水/食料/寝床」の優先順位を整理。クーラーボックスには飲み物と弁当四つがあり、短期的な余裕があると判断して探索に踏み出す。やがて川に出て水の確保に希望を見出すが、煮沸手段がないため安易に飲めない。さらに川を辿った先で海へ出ると、地形のつながりと空気の違いから“山”ではなく“島”の可能性が濃くなる。
海岸沿いを進むと絶壁で行き止まりとなり、遠くに別の島影を確認。漂着ゴミがほとんどないことにも強い違和感を覚え、孤立の現実がじわじわと迫る。日没が近づいたため、いったん最初の開けた場所へ引き返し、夜を越す拠点を決める。
火を起こす手段がない中、場所取り用の道具(薄いシート、杭、金槌、カッター、折りたたみノコギリ等)を総動員し、火切り板を自作してついに発火。焚き火を守る風除けと最低限の寝床を整え、孤島の一夜を越える。翌朝も状況は変わらず、消えかけた火を復活させ、枝の補給を続けながら生存を優先する。
高所に登って四方が海であることを自分の目で確かめ、島であると確信した瞬間、先の見えなさに心が折れかけ、ついに涙がこぼれる。それでも生き延びるため、焚き火の煙が発見につながる可能性に賭けつつ、拠点周辺を開拓し、簡易な壁や住居の“形”を作り始める。
弁当が残り一つになったことで方針を切り替え、今後の食料は魚中心へ。川に石を積んでV字に誘導する罠などを試す構想を立て、継続的なタンパク確保を目標に動き出す。さらに川を遡って水源となる湧き水を発見し、わずかに口にするが、やはり煮沸できないことが大きな課題として残る。
拠点整備と食料確保を最優先にしつつ、食べられる草や海藻も視野に入れながら、孤島での生存ルーティンを組み立てていく――その煙が、誰かに届くのかも分からないまま。
文字数 43,872
最終更新日 2025.12.13
登録日 2025.12.13
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