ホラー 救いなし 小説一覧

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灰の底で、まだ息をしている

灰の底で、まだ息をしている
水無瀬灯は、生まれたときから「壊れていた」。 暴力的な父親、無関心な周囲、学校での無言のいじめ。殴られても、無視されても、誰も助けない世界の中で、灯は「何も感じないことで生き延びる」ことを覚えた。 ある日、屋上で出会った白い髪の少女は言う。 ——「君は、全部壊れたあとで生き続けるよ」 それは予言だった。 その日を境に、灯の世界は少しずつ、しかし確実に崩壊していく。 唯一の逃げ場だった学校では、無視はやがて明確な悪意へと変わる。物は壊され、噂が流され、存在そのものを否定される。 家庭では暴力が激化し、父親の支配は日常を侵食していく。逃げる場所はどこにもない。 やがて灯は、一人の「味方」を得る。 だがその関係は、救いではなかった。 依存、執着、歪んだ愛情。 支え合っているはずの関係は、互いを蝕み、より深く、戻れない場所へと引きずり込んでいく。 白い髪の少女は、時折現れては言葉を残す。 導くように。 壊すように。 ——まるで、最初から結末を知っているかのように。 灯は何度も終わろうとする。 だが、そのたびに失敗する。 偶然か、必然か。 「死ぬこと」すら、彼女には許されない。 やがて彼女は気づく。 自分は“生きている”のではない。 ただ、「終われないまま存在させられている」だけだと。 精神はすり減り、感情は崩壊し、現実と幻想の境界は曖昧になる。 白い少女の正体もまた、少しずつ明らかになる。 それは救済ではなく—— “絶望を最後まで見届けるための存在”。 物語の終盤。 灯はすべてを失う。 人間関係も、居場所も、自分自身すらも。 それでも、終わらない。 壊れきった心で、壊れた世界を認識し続ける。 痛みも、悲しみも、意味も失ったまま。 ただ、「まだ息をしている」という事実だけが残る。 そして最後に残るのは—— 救いではない。 希望でもない。 ただひとつ。 どこにも行けない絶望と、 終わることすらできない“生”。 これは、 「死ねないまま壊れていく人間」の物語。
ホラー 完結 長編
感想数 0 文字数 14,830 最終更新日 2026.08.18 登録日 2026.08.05
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