ファンタジー shortstory 小説一覧
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サトウ家は混沌で成り立っている。そして土曜の朝、その混沌は最高速度に達する。
佐藤冬子(25歳)。聖人のような忍耐力と将軍のような鋭い視線の持ち主。彼女がこの家族をどうにか回している——文字通り、どうにか。
その夫、 Kenji (27歳)は、「今日やることをなぜ今やらねばならん。このプロレス中継が終わるまでは」が人生哲学のサラリーマン。髪はボサボサ、パジャマはいつも前後逆、そして最大の天敵は洗濯物の山。
長女の益代(7歳)は、お菓子大好きで優しい小学一年生。ただひとつ、決定的な欠点がある——彼女の“特技”への過度な依存だ。簡単な口笛ひとつで、彼女は“想像の友達”を呼び出せる。すると、窓や天井、冷蔵庫から実体を持った同年代の女の子たちが飛び出し、彼女の問題を解決してしまうのだ。
弟の隼人(5歳)は、CEOのような落ち着きを持ち合わせた幼稚園児。あらゆる状況を人質交渉に変える才能の持ち主だ。彼に魔法は必要ない。彼には“論理”があるからだ。
プリンを巡る恐竜パニックから、真夜中のプロレス王座決定戦まで——サトウ家の週末は、知恵とお菓子と戦略的な口笛が繰り広げる、休むことを知らない戦いの連続だ。
それでもなぜか、この家族は最高に幸せなのである。
文字数 6,584
最終更新日 2026.04.01
登録日 2026.04.01
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