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『泥舟には乗りません!〜転生たぬきのダンジョン焼き芋配信と、討伐隊の過保護なうさぎ様〜』
三十二歳で過労死した元社畜OLの鈴音は、異世界で忌み嫌われる「化けだぬき」のスズネに転生する。
目覚めた直後、夜逃げした父が葉っぱの偽金で作った莫大な借金を背負わされ、高利貸しから「一週間で頭金の銀貨三十枚を払えなければ、たぬき討伐隊に突き出し、魔力封じの『泥舟』で川へ沈める」と脅される。
人間の美女に変身できるスズネだが、空腹で魔力が切れると、毛先の黒い茶褐色の尻尾や丸い耳が飛び出し、小だぬきの姿に戻ってしまう弱点があった。
金策のため初級ダンジョンへ潜った彼女は、冒険者が「硬くて泥臭い」と捨てる雑草モンスター『蜜イモマンドラゴラ』を拾い集める。
前世の知識とたぬきの火種魔法を駆使し、落ち葉の焚き火と小石でじっくり焼き上げることで、黄金色の蜜が滴る極上の焼き芋へと変貌させたスズネは、小屋にあった魔導水晶で「深夜の焼き芋配信」を開始する。
パチパチと爆ぜる焚き火の音と美味しそうな飯テロ映像は瞬く間に評判となり、王都で「たぬき討伐隊」を率いる冷徹な白うさぎの騎士・シロガネの心をも射抜く。
激務と不眠に悩む彼は『白耳』の名で高額な投げ銭を送る常連リスナーとなるが、配信五日目、発酵バターと岩塩を乗せた蜜芋の美味しさに気を緩めたスズネが、画面の端に「たぬきの尻尾」を映してしまう。
宿敵に誑かされたと激怒したシロガネは現場へ突撃し、スズネを『泥舟』で捕縛して小だぬきの姿へと戻す。
しかし、魔力を封じても消えない焼き芋が幻術ではなく本物だと知った直後、極限の空腹でお腹を盛大に鳴らしてしまう。
スズネが差し出した塩バター蜜芋を口にしたシロガネは、その濃厚な甘さと温かさに胃袋も心も陥落し、長い白耳を垂らして「もう一本あるか?」とおかわりをねだる。
その一部始終が切り忘れた水晶で王都中に生中継されて大バズりし、殺到した投げ銭で借金の頭金が一気に集まるのだった。
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