日常の恐怖 小説(外部サイト)一覧
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なぞる あなたの好きな光で、私を描かないで。
総務部で働く35歳の奥田さつきは、趣味でデジタルイラストを描き、SNSに投稿していた。誰の記憶にも強く残らない日々の中で、絵を描くことだけが「今ここにいる」という感覚を与えてくれた。
あるとき、さつきのフォロワーに「haru_sketch」というアカウントが現れる。「見るたびに静かになれます」と言うharuは、やがてさつきにとって唯一の創作仲間になっていく。
しかしある日、さつきはharuの絵に、自分だけが知るはずの「筆癖」を見つける。不透明度三十二パーセントの影。右上がりに歪む線画の癖。サブアカに呟いただけの日常の欠片。
これは影響なのか、模倣なのか。悪意があるのか、ないのか。証明できる。でも証明できない。
さつきは一人で、その問いの中に立ち続ける。
愛されることの暴力を、静かに描いた心理サスペンス。全23話・約8万字。
登録日 2026.08.26
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世話の重さ
総務部で働く石川のぞみ(36歳)は、
誰の記憶にも残らない、透明な女だった。
ある春、派遣社員の桐島れいが現れる。
翌朝から、デスクに弁当箱が置かれるようになった。
「顔色、悪いですよ」
れいは世話を焼いた。
のぞみの好みを、聞かずに知っていた。
のぞみの周囲から、静かに人が消えていった。
住所を調べると、更地だった。
検索しても、どこにも存在しなかった。
古い社員証には、別の名前があった。
それでも、のぞみは聞かなかった。
聞かないことを、選んだ。
善意という名の侵食と、
孤独という名の共犯。
弁当箱が届かなくなった朝、
のぞみは窓ガラスに自分の輪郭を探す。
登録日 2026.08.26
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