父・九郎は、口がうまい。うますぎる。
法螺を吹き、人に取り入り、いつのまにか相手を味方にしてしまう。
そんな父に連れられ、幼い義太夫は都から尾張へ渡った。
「戦せずに天下を取ってみせる」
父はそう言って笑った。
だが、尾張で新しい暮らしを得た父は、義太夫を甲賀へ返してしまう。
父にとって、自分は要らぬ者だったのか。
その問いを抱えた少年の前に現れたのは、父とは正反対の、冷えた眼をした叔父・滝川一益だった。
のちに一益に仕えることになる義太夫。
これは、そのはじまりの物語。
文字数 9,325
最終更新日 2026.05.13
登録日 2026.05.13