コンゲーム/騙し合い 小説一覧
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江戸で起きる偶然は、本当にただの「偶然」だろうか――。
文政五年の江戸。
神田明神の末社・縁(えにし)神社に奉納されたおよそ三百枚の絵馬の中から、
「選ばれし願い」だけを叶える裏の稼業があった。
その名は、縁の仕掛け人「影絵座」。
彼らは魔法を使わない。
ちりばめた些細な偶然を束ね、
人知れず出会いや和解といった「必然」を仕組む職人たちである。
新入り摺師の颯太が巻き込まれたのは、
ひとりの幼い少女が書いたたった一枚の絵馬だった。
『父様と母様を会わせてください』
だが、その願いはあまりにも過酷で、不可能に近かった。
父親は絶海の孤島・三宅島に送られた流人。
母親は江戸の長屋で倒れ、その命はあと一週間から十日も持たない。
交わるはずのない二つの運命。残された時間はあまりにも短い。
「無理だ!どうやって会わせるというのか」
それでも、影絵座は神の領域に挑む。
海を越え、人の心を動かし、決して届かぬはずの想いを繋ぐため、
彼らが仕掛けた途方もない大博打とは――。
「いつかは逢おう、風に乗って。風に乗らずば、夢に乗って」
祈るだけでは届かない奇跡を、
自らの手で手繰り寄せる者たちの、
涙と覚悟の物語。
文字数 13,011
最終更新日 2026.05.24
登録日 2026.05.24
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