第7回ライト文芸大賞 募集要項

第7回ライト文芸大賞エントリー募集中
エントリー期間: 2024.4.1(月) 〜 2024.4.30(火)
開催期間(投票期間): 2024.5.1(水) 〜 2024.5.31(金)
結果発表: 2024年6月末日頃
2024年5月の1か月間、第7回ライト文芸大賞を開催いたします。ライト文芸、現代文学、大衆娯楽、経済・企業、青春という幅広いカテゴリからエントリーが可能!「大賞」「読者賞」の他、優秀な作品には、テーマごとに賞を授与する可能性もあります。 各賞受賞作品はアルファポリスからの書籍化を検討。また、投票したユーザにも抽選で賞金をプレゼントいたします。 みなさんのご参加お待ちしております!

第6回ライト文芸大賞

選考概要

ドリーム小説大賞と合併し、より幅広いジャンルから全1,876作品が集まった第6回ライト文芸大賞。その中から一次選考を通過したのは34作品。

その後、編集部内で最終選考において大賞候補としたのは、「裏路地古民家カフェでまったりしたい」「拾ったのが本当に猫かは疑わしい」「かおりぎの庭~鎌倉薬膳カフェの出会い~」「感情ミュート」「春の真ん中」「凪の始まり」の6作品。
最終選考6作品は人気の設定を意識し、登場人物や情景・心情描写などが丁寧に描かれた個性溢れる物語が集まった。

これらの候補作の中で、僅差であったが、オリジナリティある設定と個性豊かなキャラクターで最も編集部内の支持を集めた「拾ったのが本当に猫かは疑わしい」を大賞に選出。
さらに、テーマ別賞として、思春期の複雑な感情を高い筆力でまとめた「感情ミュート」、王道の青春をみずみずしく描いた「春の真ん中」を青春賞に。また高い筆力で薬膳料理の魅力を描いた「かおりぎの庭~鎌倉薬膳カフェの出会い~」を新たに設けた料理・グルメ賞とした。
また、一次選考通過作品のうち、受賞に至らなかった作品を奨励賞とした。

「拾ったのが本当に猫かは疑わしい」は、しゃべる猫を拾ったアラサーOLと獣医学部に通う猫LOVEな隣人の日常と恋愛を描く、コミカルで可愛らしい印象の作品。個性豊かなキャラクターたちが繰り広げる軽快で小気味良い会話と、癒やされる読後感が評価された。

「感情ミュート」は、北海道の函館を舞台に、母親との関係に悩む女子高生と、とある事情で東京から引っ越してきた男子高生の関係を描くボーイ・ミーツ・ガールストーリー。登場人物たちの感情の動きを丁寧に描き、高い筆力を窺わせた。

「春の真ん中」は、親の離婚で田舎に戻ってきた女子高生が、桜の舞い込む教室でピアノを弾くクラスメイトの男子に出会う画が美しい物語。それぞれの家庭の事情に悩みながらも二人が心を通わせていく様子が繊細に描かれていた。

「かおりぎの庭~鎌倉薬膳カフェの出会い~」は作品全体に流れる穏やかな雰囲気と、おいしそうな薬膳料理の描写が魅力。年下カフェ店員が傷ついた主人公を優しく包み込み、二人で手を取って生きていく過程が綺麗にまとめられていた。


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応募総数1,876作品 開催期間2023年05月01日〜末日

編集部より

「動物が話せる」という非日常的な設定が効果的に作用し、逆に何気ない日々の尊さを感じさせ、恋や家族愛など読者が思わず感情移入してしまう要素を巧く物語にまとめているところが大変魅力的です。読了後、明日も頑張ろうと背中をそっと押してくれるような、多くの読者が前向きになれる作品だと思います。


編集部より

ポイント最上位作品として“読者賞”に決定いたしました。最初は可愛かったインコが、主人公が見ない内にワイルドに変貌を遂げている導入は秀逸で、読者の興味を惹いたのではないでしょうか。

感情ミュート

16位 / 1,876件

編集部より

感情を殺す癖のある主人公が一見明るいけれど心に傷を抱えた少年と出会い、家族との確執、恋愛、友情などを通して成長していく様子に引き込まれました。登場人物の心情描写やストーリー構成が巧みで、非常に完成度が高いと感じました。

春の真ん中

39位 / 1,876件

編集部より

王道のストーリーに、美しい描写が重なり、独特の切ない風景を描き上げられている、と感じました。高校生の友情や恋愛、という当事者である彼女たちにとっては大事な出来事をひとつひとつ丁寧に描いた、優しい作品でした。


編集部より

三人称で語られる物語はとても読みやすく、登場人物各々の心情が手に取るように感じられました。また、主人公たちのみずみずしい恋物語に癒され、薬膳などの描写も細やかで心温まりました。

※受賞作については大賞ランキングの最終順位を追記しております。

第5回ライト文芸大賞

選考概要

過去最多の応募数を更新した第5回ライト文芸大賞。
心温まる家族の愛や、逆境を乗り越える人間の姿、青春の瑞々しさ、命の尊さなど、力強い題材の作品が集まった。

25作が残った最終選考において大賞候補作としたのは、「家政夫くんと、はてなのレシピ」「3日戻したその先で、私の知らない12月がくる」「私と継母の極めて平凡な日常」「瞬間、青く燃ゆ」「シンプル」の5作品。
これらの候補作の中で、僅差であったが編集部内で最も支持を集めた「3日戻したその先で、私の知らない12月がくる」を大賞に選出。
さらに、テーマ別賞として、「家族」をテーマにした2作「家政夫くんと、はてなのレシピ」「私と継母の極めて平凡な日常」を家族愛賞、また若手編集部員からの支持が高かった「瞬間、青く燃ゆ」を青春賞、平易な文章で主人公の複雑な心情を丁寧に描いた「シンプル」を優秀短編賞とした。
その他、惜しくも受賞に至らなかった作品を奨励賞とした。

「3日戻したその先で、私の知らない12月がくる」は、「リワインド」という時間を巻き戻す能力を持った女子高生の青春の日々を描いた作品。「今を大切に生きること」という一貫したテーマが明確に伝わる点、筆力の高さ、SF設定と青春恋愛が上手く組み合わされた点で支持を集めた。

「家政夫くんと、はてなのレシピ」は、妻を亡くした高齢の男性のもとに家政夫として通う男子大学生の交流を描いたハートウォーミングな作品。レシピの独自性、料理の描写力も群を抜いていた。

「私と継母の極めて平凡な日常」は、精緻かつリアルな登場人物の心情描写の巧みさと、脇役に至るまで魅力的なキャラクター造形が高く評価された。また時事性のあるテーマ選択は、書き手の高い感度を窺わせる。

「瞬間、青く燃ゆ」は、冒頭のシーンのインパクトと、メッセージの明確さが評価された。辛い過去に苦しむ主人公がそれを乗り越え成長する姿と、爽やかな読後感が印象的。

「シンプル」は、繊細な筆致で、10代の主人公の葛藤と成長を鮮やかに描いた作品。明確なテーマを一篇の短い物語にきちんと落とし込んだ筆力の高さが、編集部内でも高く評価された。

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応募総数1,239作品 開催期間2022年05月01日〜末日

編集部より

「リワインド」という超能力設定を活かした印象的な冒頭のシーンで読者を惹きつけ、先を読ませる魅力のある作品だと感じました。作中には主軸となる恋愛の他にも、部活、美術、BL漫画など、魅力的な要素が盛りだくさんにちりばめられており、読者を楽しませてくれます。また、バドミントンの描写には非常に躍動感があり、ぜひ著者の青春スポーツものを読んでみたい、という意見が複数の編集者から出ました。タイトルのセンスも非常によく、文句なしの大賞受賞です。

離島で高校生活送ってます

浅葱
1位 / 1,239件

編集部より

ポイント最上位作品として、”読者賞”に決定いたしました。親元を離れ、離島の学園で暮らす主人公たちがスローに送る青春の日々。まさに「もふもふ天国」な生活に心癒され、自分もいつかこんな暮らしをしてみたいという気持ちになります。


編集部より

主人公と依頼主の家族との交流が優しく丁寧に描かれた、ハートウォーミングな作品。苦しみを抱えながらも、大切な人の死を乗り越え、日々の生活を着実に営んでいく人間の力強さを感じることができました。また、どのレシピにもひと工夫があり、ごはんもの小説としての魅力もしっかりある、一粒で二度も三度もおいしい作品でした。


編集部より

由依と継母である琴子との、血の繋がりを超えて互いを思いあう姿が心に響く作品でした。由依の葛藤が丁寧かつリアルに描かれていて、素直に感情移入できます。琴子が注ぐ無償の優しい愛情にもじんときます。こんな女性が近くにいたらいいな、と思わせるキャラクターでした。また、選考では会話文のテンポの良さも評価されました。


編集部より

彼女をストーカーに刺殺され、他人の感情が色として見える「色視症」という特殊な病を抱えることになった主人公の律の葛藤と、過去を克服しようと奮闘する姿に心を動かされました。律の抱えているものをまるごと受け止め、信じ、支えようとする大地の熱い友情にもじーんときます。爽やかな読後感の残る、まさに「青春賞」の名にふさわしい作品でした。

シンプル

847位 / 1,239件

編集部より

頑張って弁当を作ってくれる母の弁当を馬鹿にされたことで、人前で食事ができなくなってしまった主人公。友達との微妙な距離感、家族との関係における心の葛藤が丁寧に描かれ、それを乗り越えて成長する主人公の姿に非常に好感を持てる作品です。物語全体の構成も巧みで、完成度の高い作品でした。ぜひ、長編を読んでみたいです。

※受賞作については大賞ランキングの最終順位を追記しております。

第4回ライト文芸大賞

選考概要

前回に続き、多くのエントリーがあった第4回ライト文芸大賞。心温まる家族の愛を描いたお話や、人との交流の在り方をテーマとしたもの、青春の瑞々しさと命の尊さを描いた物語など、幅広い題材の作品が集まった。

多数の応募の中から、編集部内で大賞候補作としたのは、「先生は、かわいくない」「よくできた"妻"でして」「【完結】社会不適合者の言い分」「僕らは出会う、青く輝く月明かりの下で。」「嗚呼、青春のホリゾントライト!」「嘘の私が本物の君についたウソ」「女ふたり、となり暮らし。」「間宮先生、今日はどこへ行きますか?」「今日から君の代わりに未練を解消します。」「ふみちゃんは戦争にいった」「夜勤が明けたら何食べよう」「僕と彼女の、繰り返される夏」「傍に、藍」「心の落とし物」の14作品。

これらの候補作の中で、編集部内で最も支持を集めた「女ふたり、となり暮らし。」を大賞に選出。さらに、テーマ別賞として、「僕らは出会う、青く輝く月明かりの下で。」を命の輝き賞、「【完結】社会不適合者の言い分」を家族愛賞、「よくできた”妻”でして」を優秀短編賞とした。また最終選考に残ったものの、惜しくも受賞に至らなかった作品を奨励賞とした。

「女ふたり、となり暮らし。」は、マンションの隣同士に住むOLと問題を抱えた女子高生の日常的な交流を描いた作品。食卓をともにしながら二人が打ち解けていく様子が、軽妙な文章で微笑ましく表現されていた。

「僕らは出会う、青く輝く月明かりの下で。」は、四週間後に自殺する女子高生が幽霊の男の子と出会うことで成長していくお話。自殺志願者を救っていく設定が秀逸で、若い世代の選考員を中心に高く評価された。

「【完結】社会不適合者の言い分」は、引きこもりの兄と、彼を外に出そうとする妹の攻防をコミカルかつシリアスに描いたストーリー。兄と妹の掛け合いが絶妙で、互いを思い合う兄妹愛に心が温まった。

「よくできた”妻”でして」は、亡くなった妻が遺した機械仕掛けの”妻”とともに、仕事一筋だった夫が余生を送る物語。数々の仕掛けが時を経るごとに使えなくなる描写が切なく、読み手の涙を誘った。

なお、エントリー作の一つである「後宮の下賜姫様」は、同賞の定義する「ライト文芸」とはジャンルが異なることから選外としたが、キャラクターや設定が魅力的で商業性の高い作品だと評価する声が多かった。

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応募総数1,013作品 開催期間2021年05月01日〜末日

編集部より

女子高生とOLという属性の違う二人の女性が料理を介して、互いの共通点や人生を知っていくのが素敵な作品でした。登場する料理描写もひとつひとつが美味しそうで、実際に作ってみたくなります。ラストでは伏線が見事に回収され、ぐっと物語が引き締まったように感じました。全体的に完成度の高い作品でした。

前略、山暮らしを始めました。

浅葱
1位 / 1,013件

編集部より

ポイント最上位作品として、“読者賞”に決定いたしました。ご近所さんとの心温まる交流をはじめ、山暮らしならではの結びつきが生き生きと描かれていました。強くて喋れるちょっぴりおかしなニワトリモドキや、クールだけど飼い主には従順な大蛇など、個性豊かなキャラクターに多くの読者が引きつけられたのだと思います。


編集部より

四週間後に自殺する予定の女子高生が自殺志願者を救うという設定はオリジナリティがあり、読者が共感しやすい要素が詰め込まれているところも大変魅力的でした。二葉が様々な人と出会い、変化していく様子が繊細に描かれていて、多くの人が感動できる作品だと感じました。


編集部より

引きこもりの兄と、彼を外に連れ出したい妹の掛け合いがとても軽快に描かれた作品でした。お互いのことを思い合う兄妹の姿は微笑ましく、読み進めるにつれて温かな気持ちがあふれてきます。辛い出来事を乗り越えた二人が新しい一歩を踏み出すシーンには、ぐっときました。


編集部より

夫を思って機械の分身を遺していった妻の偉大さ、そして妻をいつまでも大事にし続ける夫の愛情が心に沁み入りました。特に、機械の妻が老朽化し、ついに止まってしまった場面では、胸が締め付けられます。短編ながらも二人の過ごした時間の重みが伝わってくる魅力的な作品でした。

※受賞作については大賞ランキングの最終順位を追記しております。

第3回ライト文芸大賞

選考概要

第2回を大きく上回る応募数となった今回は、何気ない日常を丁寧に切り取った物語や、青春の出会いと別れを描き切ったお話、仕事や部活動での人間関係を主軸としたものなど、幅広いテーマの作品が集まった。終始あたたかい雰囲気の物語が多い一方で、切ない感情や重い悩みを主題とした小説も目立った。

多数の応募の中から、編集部内で大賞候補作としたのは、「たっくんは疑問形~あなたと私の長い長い恋のお話~」「スパイスカレー洋燈堂 ~裏路地と兎と錆びた階段~」「咲夜。人の寿命が見える私と、来年までに死ぬ彼の話。」「おいしいふたり暮らし~今日もかたよりご飯をいただきます~」「たとえ空がくずれおちても」「好きなひとは ちがうひとの 生きる希望」「同じ星を目指して歩いてる」「ガールズ!ナイトデューティー」「ベビー・アレルギー」「この世界で僕だけが透明の色を知っている」「雨が乾くまで」「雪町フォトグラフ」「呪われ少女は不幸になりたい」の13作品。

これらの候補作の中で、編集部内で最も支持を集めた「おいしいふたり暮らし~今日もかたよりご飯をいただきます~」を大賞に選出した。さらに、テーマ別の賞として、透明人間のように周囲に認識されなくなっていく少女を救おうとする「この世界で僕だけが透明の色を知っている」を切ない別れ賞に、離島を舞台に繰り広げられる高校生の恋模様を描いた「好きなひとは ちがうひとの 生きる希望」を青春賞とした。また、最終選考に残ったものの、惜しくも受賞に至らなかった作品を奨励賞とした。

「おいしいふたり暮らし~今日もかたよりご飯をいただきます~」は、元料理人の主人公が、偏食家でズボラな恋人の食生活をwebカメラを通じて抜き打ちチェックする話。料理の描写が非常に丁寧で食欲をそそり、また、主人公と恋人の両方が好感を持てる人物造形をしている点も高く評価された。

「この世界で僕だけが透明の色を知っている」は、男子高校生の主人公が、突然周囲の人に認識されなくなってしまった幼なじみの少女を救うために奔走する物語。ヒロインである幼なじみが不安を抱えながらも明るく懸命に生き抜こうとする姿が印象的で、切なくも読後感のよい作品だった。

「好きなひとは ちがうひとの 生きる希望」は、幼い頃に主人公と結婚の約束をした幼なじみの少年が、余命僅かな少女を恋人として連れて帰ってくるというストーリー。主人公を始めとする各々のキャラクターの苦悩や心の揺らぎが繊細なタッチで描かれ、構成力の高さが窺えた。

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応募総数1,171作品 開催期間2020年05月01日〜末日

編集部より

彼女の食生活をオンラインで見守るというインパクトのある設定から丁寧に語られていく二人の等身大の物語に、一気に引き込まれました。料理の描写もとてもお上手で、頼子のズボラ飯の作り方やその後の食べている様子を読むだけでお腹が空くような、魅力的な作品だと感じます。


編集部より

ポイント最上位作品として、“読者賞”に決定いたしました。さっぱりした性格のヒロイン・響子と、浩一朗をはじめとした三人の男性キャラクターの気がおけない関係に引き込まれました。また、彼らが生み出す刺激的な恋愛模様も面白く、人気の高さにも頷けます。


編集部より

「透明病」を患ったヒロインがキラキラと消えていく描写が、とても美しく秀逸でした。主人公がヒロインの絵を描き続けることで、彼女を記憶に留められるというラストも素晴らしかったです。切なくもどこか爽やかな印象の作品でした。


編集部より

一つ一つのシーンから全体までよくまとまっていて、主人公の丁寧な心情描写に引き込まれました。幼馴染はもちろん、恋敵から徐々に打ち解けていく幼馴染の恋人や恋心をひた隠してずっと主人公を支えた幼馴染の弟など、周囲のキャラクターにも好感が持て読後感のよい作品でした。

※受賞作については大賞ランキングの最終順位を追記しております。

第2回ライト文芸大賞

選考概要

第1回を大きく上回る応募数となった今回は、大切な人との切ない別れを描いた物語や、家族の在り方を主軸としたもの、瑞々しい青春を描いた小説など、幅広いテーマの作品が集まった。社会問題や主人公の抱える悩みを描きつつも重い雰囲気になりすぎず、ラストでは希望や救いを見出すような、読後感のよい作品が多かった。


多数の応募の中から、編集部内で大賞候補作としたのは、「命のバトンは未来へ繋がる ~The Last 100 day~」「『私メリーさん、今あなたのおうちの前にいるの』」「力士かと思ったら僕のカノジョだったよ」「未来からの小説、過去からの恋」「余命5分の恋人 ~死神にあらがうために、僕と君は恋をする~」「さよなら、幽霊(キミ)とバッドエンド」「八月の魔女」「ハナサクカフェ」「アパートの一室」「サマーエンディングストーリー」の10作品。


それぞれ個性的で異なる魅力があったが、いずれも大賞には一歩及ばなかったため、新たに優秀賞を設けて編集部内での評価を集めた「八月の魔女」を選出した。また、テーマ別の賞として、甘酸っぱい恋心を描いた「さよなら、幽霊(キミ)とバッドエンド」を青春賞、恋人との未来をつかもうとする「余命5分の恋人 ~死神にあらがうために、僕と君は恋をする~」を切ない別れ賞、主人公の懸命な姿を描いた「命のバトンは未来へ繋がる ~The Last 100 day~」を命の輝き賞、子育てをテーマとした「ハナサクカフェ」を家族愛賞とした。
さらに、これらの作品にわずかに及ばずながらも優れた作品であった「『私メリーさん、今あなたのおうちの前にいるの』」「サマーエンディングストーリー」の2作品を特別賞に選出した。
また、最終選考に残ったものの、惜しくも受賞に至らなかった作品を奨励賞とした。


「八月の魔女」は、魔女の力を受け継ぐ高校生の主人公が、自分の将来について悩みながら祖母の家でひと夏を過ごし、成長する物語。ハーブやまじないの言葉を使って日々を丁寧に過ごす様子や、作品に流れる優しい雰囲気が心地よく、物語に緩急がある点も高く評価された。

「さよなら、幽霊(キミ)とバッドエンド」は、雨の日だけ幽霊が見える主人公が、記憶喪失の幽霊と出会って恋に落ちるというストーリー。幽霊に恋心を抱いてしまった主人公の苦悩や心の揺らぎが繊細なタッチで描かれ、構成力・筆力の高さがうかがえた。

「余命5分の恋人 ~死神にあらがうために、僕と君は恋をする~」は、“死神チェック”により余命を宣告された主人公が、同じ境遇の少女と恋人になり、未来を覆そうとする物語。恋愛模様に加え近未来的な設定が目を引き、インパクトのある作品だった。

「命のバトンは未来へ繋がる ~The Last 100 day~」は、命を救われた主人公が救命士となり、救命現場で奮闘する姿を描いたもの。主人公の生き様から伝わる信念や「命」というテーマが明確で、読者へのメッセージ性を強く感じられた。

「ハナサクカフェ」は、子育てに悩む客の視点で、赤ちゃん・乳児専用カフェでの出来事を語った作品。育児の悩みがリアルに描かれつつも、店員の温もりや苦悩を打ち明けて前に進もうとする親から希望が感じられ、読後感のよい作品だった。

「『私メリーさん、今あなたのおうちの前にいるの』」は、主人公の家に親戚の女の子が突然訪ねてきたことから始まるストーリー。前半は軽い筆致でありながらも、終盤は雰囲気が一変して謎が提示されるという、意外性を狙った構成が巧みだった。

「サマーエンディングストーリー」は、故郷に戻った主人公が幼馴染や家族との繋がりを改めて考え直す物語。物語全体に漂う夏を感じさせる空気感や、どこかノスタルジックな趣のある情景描写が巧みで、筆力の高さがうかがえた。

応募総数833作品 開催期間2019年04月01日〜末日

なし


編集部より

ポイント最上位作品として、“読者賞”に決定いたしました。キャラクター達が生き生きと表現されており、読んでいるこちらまで元気になるほどのエネルギーを感じました。日常と非日常を魅せる舞台設定が巧みで、その場に自分がいるかのように思わせる世界観が、多くの読者をひきつけたのではないかと思います。

八月の魔女

71位 / 833件

編集部より

祖母の家へ帰省した夏の、穏やかに流れる時間や暮らしの風景が丁寧に描かれている作品でした。主人公をはじめ、登場人物たちが各々の抱える苦難を乗り越えて成長していく様子なども、繊細に表現されていると思います。魔女や妖精というファンタジー要素も日常の中に違和感なく溶け込んでいて、非常に魅力的でした。

さよなら、幽霊(キミ)とバッドエンド

鞠坂小鞠
48位 / 833件

編集部より

雨の日だけ幽霊が見えるという主人公の設定に加え、幽霊の正体に関する伏線が巧みでした。顔の見えない幽霊に恋心を抱き、いつしか雨の日を待ち遠しく思う主人公の心情が丁寧に描かれていて、爽やかさと共に切なさが伝わってきます。感情移入せずにはいられない、最後まで目が離せない作品でした。

余命5分の恋人 ~死神にあらがうために、僕と君は恋をする~

友理 潤(じゅー)
36位 / 833件

編集部より

AIが予測した未来に抗おうとする少年少女の懸命な姿が瑞々しいタッチで描かれていて、別れの予感に切なさを覚えつつも、読後には爽やかな気持ちになれます。SFや青春、恋愛といった要素が物語にうまく絡んでおり、十代に限らず、上の年齢層にも支持される作品だと感じました。

命のバトンは未来へ繋がる ~The Last 100 day~

雪柳 京司朗
7位 / 833件

編集部より

主人公が救命の現場で苦悩しながら、救助者の命を繋ごうと懸命にひた走る姿が印象的でした。主人公はもちろん、一見、飄々としているように見える貝塚医師や、医師として命を懸けた神谷など、キャラクターひとり一人の「生」に対する信念が描かれており、読み応えのある作品だと思います。


編集部より

悩みを抱えながらも子供に愛情を注ぐ親の姿が、リアルに描かれた作品でした。それぞれの親の視点で語られることで、キャラクターの感情がうまく表現されています。また、親たちに寄り添う店員たちの優しく温かい雰囲気も心地よく、こんなカフェが身近にあったらと思わせる魅力的な物語でした。

「私メリーさん、今あなたのおうちの前にいるの」

猫野ミケ
11位 / 833件

編集部より

キャッチーなタイトルと導入に加えて、読者の裏をかく展開が巧みでした。また登場人物に人間味があり、メリーのために諦めず必死になる主人公と、彼を心から助けてくれる周囲のキャラクターの姿に、思わず胸が熱くなりました。切ないけれど最後には心温まる作品だと思います。

サマーエンディングストーリー

にぎた
329位 / 833件

編集部より

「ひと夏の物語」を感じさせる空気感や懐かしさの漂う情景描写が、物語の主題と合っていました。悩みを抱えながらも強く生きる幼馴染や、幼い頃に亡くなった父との邂逅を経て、自分を見つめ直していく主人公にも好感が持てます。じんわりと心に沁みる味わい深い作品でした。

※受賞作については大賞ランキングの最終順位を追記しております。

第1回ライト文芸大賞

選考概要

初開催にして、応募数が508作にものぼった第1回ライト文芸大賞。多数の作品から編集部内で大賞候補作としたのは「僕とエリナの、最後の半年間について」「伊緒さんのお嫁ご飯」「世界の終わり、茜色の空」「ミヤコワスレを君に」「足リナイ脳ノ補イ方」「まよいが」「いつか、俺が俺を好きであるとき」の7作品。

中でも選考員の評価が高かったのは「僕とエリナの、最後の半年間について」「ミヤコワスレを君に」「足リナイ脳ノ補イ方」の3作品だった。いずれもそれぞれの魅力を持つ力作であったが大賞には一歩及ばず、新たに優秀賞という枠を設けて「僕とエリナの、最後の半年間について」「足リナイ脳ノ補イ方」を選出、「ミヤコワスレを君に」には特別賞を授与することとした。

「僕とエリナの、最後の半年間について」は、自分が死ぬ日を知っている無気力な少年と、そんな彼に近づこうとする少女の物語。読者のターゲット層をしっかり定めて設定が練られており、少年と少女それぞれの視点から語られることで、より感動を呼ぶストーリー構成となっていた。

「足リナイ脳ノ補イ方」は、発達障がいの診断を受けた青年が、自分自身や初めての恋と向き合いつつ成長していくという意欲作。非常に繊細なテーマを扱いながらも、ユーモアあふれる文体と個性的なキャラクターたちが独自の世界観を築き上げ、類稀なセンスのうかがえる話に仕上がっている。

「ミヤコワスレを君に」は、田舎の少年と都会出身の少女が不器用ながらも距離を縮めていく様子が丁寧に描かれた良作。主人公の兄にまつわる過去の見せ方もうまく筆力の高さが感じられたが、突出した引きに欠け、全体を通して地味な印象を受ける点が惜しかった。

また授賞には至らなかったが、「伊緒さんのお嫁ご飯」は、仲睦まじい夫婦の食卓が温かな視点で描かれ、心がほっこりする作品。親しみ深い料理がたくさん登場し、読者の食欲をそそるが、夫婦の会話以外に物語の広がりがなく、単調に感じられる点が残念だった。

「世界の終わり、茜色の空」は、世界が終わる前の数日間を繰り返し体験する少年少女の物語。設定が魅力的で、ノスタルジックなキャラクター像や日常描写が独特の空気を作り出していたが、唐突感のあるラストがマイナスとなってしまった。

「まよいが」は、社会に疲れた人々が奇妙な屋敷にいざなわれ、そこで新たな自分を見つけるまでの様子が高い筆力で描かれていた。どの登場キャラクターにも親近感が湧く一方、それぞれのエピソードが薄く、既視感のあるものに感じられた。

「いつか、俺が俺を好きであるとき」は、記憶を失った主人公にまつわる伏線がよく練られた作品。そのアイデアには評価が集まったものの、やや無理のある設定、描写力の粗さが目立ち、うまくまとめきれていない印象を受けた。

応募総数508作品 開催期間2018年04月01日〜末日

なし


編集部より

ポイント最上位作品として、“読者賞”に決定いたしました。航空自衛隊を舞台としている点が目新しく、楽しい作品でした。整備士であるヒロインとパイロットであるヒーローの掛け合いが軽妙で、二人の距離が徐々に近づいてゆく過程に多くの読者が胸をきゅんとさせたことと思います。


編集部より

自身の死ぬ日を知っている主人公の文成と、そんな彼にちょっかいをかけるエリナが生き生きと描かれた作品でした。「その日」までのカウントダウンが進むにつれて二人が心を通わせていく姿が切なく、読者へ強く訴えかけるものがあったのではないでしょうか。エリナの心情が後章で明かされたとき、それまで以上に物語に引き込まれ、胸が熱くなりました。

足リナイ脳ノ補イ方

EITO8×8
64位 / 508件

編集部より

小説として完成度が高く、読み応えのある作品に仕上がっていると思います。純粋に生きる「六六六」や彼を支える「死神」、病気を抱える「空」など、登場人物がみな個性的で、ユーモアと優しさにあふれた物語でした。発達障がいという主題の難しさがありながらも、嫌味なく書ききった筆力にも評価が集まりました。


編集部より

主人公とヒロインの心情描写が丁寧に描かれており、彼らの純粋にお互いを思いやる姿が感動的でした。亡くなった主人公の兄に関する伏線の張り方がうまく、ストーリーをクライマックスで盛り上げるなど、構成力の高さが感じられます。また、随所で用いられる比喩表現が巧みで、物語に引き込まれました。

※受賞作については大賞ランキングの最終順位を追記しております。