「バレンタインに、彼女は別れを告げた。残されたのは、小さな紙袋と、最後の微笑みだった」
彼女との別れは突然だった。
バレンタインデーの夕暮れ、公園のベンチで、彼女は静かに「別れよう」と言った。
彼女の手には、ピンク色の包装紙に包まれた小さなチョコレート。
それが「義理チョコ」だという彼女の言葉に、僕は何も言えなかった。
「今までありがとう。これからもよろしく」
彼女は泣かなかった。でも、胸を押さえていた。
何かを言おうとする僕を、小さく笑って見つめると、彼女は小走りで去っていった。
残されたチョコレートと、添えられた手紙。
「今までありがとう。あなたと過ごした時間は、本当に幸せだったよ」
それは、甘くて、少しだけ苦い別れの味だった――。
文字数 855
最終更新日 2025.02.14
登録日 2025.02.14
「こんナーユー! VirtualYouTuberの煌ナユタです!」
歌って踊れるマルチエンタメ系Vチューバー・煌ナユタ。
トーク配信ではテンション高めにリスナーを楽しませつつ、ゲーム実況では時折迷走し、オタクトークになると語りすぎて止まらない!
——そんな彼女が、久々の雑談配信を始めた。
今日のテーマは、「孤島のホテルで開催されたミステリー演劇イベント」の体験レポート!
関係者の招待でリハーサルから見学し、豪華な館内を巡る没入型演劇を楽しみ、ディナーショー形式の推理劇に感動するナユタ。
しかし、熱が入りすぎた食レポが炸裂し、推理そっちのけで高級フィンガーフードを堪能する場面も……?
「もう最高だったんだよ! いや、ほんとに!」
しかし、そんな楽しいイベントの話を続けるうち、ナユタのトークは思わぬ方向へ——。
それはただの「体験レポート」ではなく、"何か"を伝えようとする配信だった。
果たして、ナユタが語る"本当の出来事"とは……?
文字数 4,275
最終更新日 2025.02.09
登録日 2025.02.09
突然のリストラで妻と娘に家を出ていかれた中年フリーター、安堂伊知郎。
ある日コンビニで晩飯を買うためレジに並ぶと、小銭が足りないことに気づく。
もたついた伊知郎に差し出される、五円玉。
誰が代わりに払ってくれたのかわからぬまま、頭に響く安藤家の家訓。
借りたものは返せ。
僅かに見えた背中を頼りに伊知郎の”返し”が始まるのであった。
一方で、真盛橋羽音町では学生を狙ったクスリの売買が増加しつつあった。
売人狩りを趣味と謳う佐山勝は、女子高生が購入する現場に遭遇し、クスリの売人である二人組を追いかけて──
真盛橋羽音町で巻き起こるヤクザ、警察、自警団の己が信念をかけた大乱闘群像劇。
文字数 239,443
最終更新日 2024.04.30
登録日 2024.04.01