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恋愛 連載中 短編
「王家の印章を彫り直したのは、この私です」――印章室で四か月、毎晩刃を握って王家の印章を彫ったのはアニエスだった。けれど勲章を賜ったのは叔父。偽の印を押した書状が出回ると、叔父は姪が型を持ち出したと言い立てた。父の形見の彫刻刀まで取り上げられ、手もとに残ったのは柄に巻いてあった赤い糸だけ。そんな彼女を呼んだのは、王国じゅうの家系図をそらで言えるのに自分の家の話だけはしない紋章院の総裁と、蝋のしずくを集める五歳の王女さまだった。全七話。
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文字数 6,359 最終更新日 2026.10.22 登録日 2026.10.22
恋愛 連載中 短編
結婚十年を祝う肖像画の幕が落ちたとき、夫の隣で微笑んでいたのは愛人だった。描くはずだった弟子のティボーは、妻の場所に愛人を描けと命じられて断り、屋敷を追われた。残ったのは描きかけの一枚。夫だけが描かれ、右半分は灰色のまま空いている。美術院への後援も宮廷の画家の仲介も、十年支えてきたのは侯爵夫人イヴォンヌの手紙だった。彼女は静かに後援の名義を取り戻し、離縁を告げる。言葉より先に絵を描く美術院長の公爵と、彼女の笑う顔を待ち続けた若い画家とともに、あの空白を埋めるまで。全六話。
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文字数 12,475 最終更新日 2026.10.22 登録日 2026.10.21
恋愛 連載中 短編
夜会の翌朝、身ごもった王妃さまの頬が赤くただれた。仕上げの手柄は従妹のセリーヌのもの、白粉の責めは化粧係の私のもの。七年仕えた王宮を追われたその夜、近衛騎士団長が宿まで迎えに来た。王太后さまが黒いベールをかぶり、「あの子の描く眉でなければ人前に出ない」と言い張っているという。甘い匂いのする白粉の正体は何なのか。左の眉に傷のある無口な団長は、なぜ私の手元ばかり見ているのか。王妃さまとお腹のお子を守るため、私はもう一度、母の眉筆を手に取る。全七話。
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文字数 12,388 最終更新日 2026.10.21 登録日 2026.10.20
恋愛 連載中 短編
「お前は母親に向いていない」。伯爵夫人エロディの夫は、相談もなく七歳の息子ユーゴを北の寄宿学院へ送った。空いた子ども部屋には愛人の衣装箱が運びこまれ、息子へ書いた手紙は一通も届かない。やがて届いたのは、「母上は、ぼくのこと、わすれた?」と書かれた小さな紙だった。八年間、伯爵家の格と家計を支えてきたのは誰だったのか。エロディは自分の名で、支えを一つずつ引き上げていく。寝る前に三つずつ質問しあう母と子に、子どもと話すときだけ膝を折る学院長の公爵が加わるまで。全六話。
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文字数 12,458 最終更新日 2026.10.20 登録日 2026.10.19
恋愛 連載中 短編
「意匠はわたくしのものですが、花を挿したのは姉です」――王妃付きの花飾り師フロランスは、夜会の花の意匠を妹マリエットに横取りされた。そのうえ王妃さまが咳きこんだ責めまで着せられ、王宮を追われる。修道院行きを命じられた彼女のもとへ現れたのは、鳴かなくなった王妃さまのカナリアを抱えた植物園の園長ヴェルデン侯爵だった。人の顔は覚えないのに、「君が言ったことは全部覚えている」と言う。妹がもう一度百合を挿す日、白い手袋の指先が嘘を暴く。全七話。
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文字数 12,450 最終更新日 2026.10.19 登録日 2026.10.18
恋愛 完結 短編
「家の功労者に、父の勲章を」。義父が亡くなって一年の晩餐で、夫ヘルマンは義父の勲章を愛人の兄の胸に付けた。家の借金も、街道の安全も、王宮での席も、支えてきたのは妻のフリーダなのに。夫はさらに、義父の老いた黒馬を売ると言い出す。フリーダは封をしたままだった義父の手紙を開く。そして実家の騎士団の見回りも持参金の利子も王宮の席も、静かに引き上げて離縁を告げる。記念式典の日、王宮の前庭に黒馬が二頭並んだとき、北の辺境侯が口を開いた。元サヤなし。全六話。
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文字数 12,425 最終更新日 2026.10.18 登録日 2026.10.17
恋愛 完結 短編
「陛下に読み上げた言葉は、書状のどこにもございませんわ」――目の白く濁った老王セヴランのため、五年間一語も飛ばさずに書状を読んできた朗読係ネリー。従姉マリエルと書記官長の伯父に書状の中身をすり替えられ、悪い知らせを良い知らせに読み替えたと言いふらされて、王宮を追われる。けれど老王は、彼女の声でなければ眠れない。三晩目の夜、杖をつき、読みかけの本を抱えて彼女のもとへやって来た。扉の外で二年間その声を聞いていた生真面目な王太子リュシアンと、革の栞が挟まった物語の続きが、彼女を待っている。全七話。
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文字数 12,476 最終更新日 2026.10.17 登録日 2026.10.16
恋愛 完結 短編
伯爵夫人エレインのもとに、見知らぬ屋敷の利息の催促が届いた。保証人の欄には、最後の文字が上へ跳ねる自分の署名。夫は家の書類の束にまぎれさせて、愛人に買った屋敷の借金を妻に背負わせていたのだ。「名前を書くのが、お前の仕事だろう」。六年間、家の借金も王宮の月報も支えてきたエレインは、実家の銀行の支えを静かに引き上げて離縁を決める。追いすがる夫が差し出したのは、偽の署名の保証書。その嘘を見抜いたのは、字の読めない侍女頭と、遊び人と噂の隣国の大使だった。全六話。
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文字数 12,639 最終更新日 2026.10.16 登録日 2026.10.15
恋愛 完結 短編
王女殿下の婚礼の朝、三時間かけて花嫁の髪を結ったのは私だった。けれど国王陛下のお褒めの言葉は、義妹のコレットのものになった。その夜、真珠の髪飾りが広間の床に落ちると、継母は留めたのは私だと言い放つ。王宮を追われる前夜、私にしか髪を触らせない八歳の第三王女は、母の形見の象牙の櫛を抱えて言った。「戻ってくるまで返さない」。迎えに来たのは、誰にでも愛想のいい第二王子ラファエル殿下。ピンを一本も使わない結い方で、私は奪われたものを取り返す。全七話。
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文字数 12,443 最終更新日 2026.10.15 登録日 2026.10.14
恋愛 完結 短編
「母上とオデットに、この部屋を使わせる」。伯爵夫人クラリスが持参金で整えた南向きの部屋を、夫は相談もなく姑と義妹に明け渡せと言い渡した。六年間、家政の帳簿も取引先への支払いも、夫の宮廷での役職をつなぐ実家の推薦も、黙って支えてきたのはクラリスだった。窓辺の銀梅花まで捨てられた朝、彼女は静かに支えを引き上げ、離縁を決める。鉢植えを拾ってくれた料理番の少年と、約束に必ず期日をつける宰相補佐の伯爵に見守られて、新しい窓辺へ。元サヤなし。全六話。
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文字数 12,389 最終更新日 2026.10.14 登録日 2026.10.13
恋愛 完結 短編
王妃付きの仕立て係ソレーヌの縫ったドレスは、いつも姉の手柄だった。王妃さまの誕生祝いの夜会で裾が裂けると、姉は大勢の前で言い放つ。「裾の始末だけは妹に任せておりました」。王宮を追われたソレーヌを迎えたのは、軍服しか着ないと噂の寡黙な大公殿下。「君の縫った服なら着る」と夜会服を頼まれ、王妃さまの愛犬は彼女の膝から降りようとしない。誰の目にも見えない三針の隠し縫いが、やがて御前で姉の嘘を暴いていく。全七話。
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文字数 12,429 最終更新日 2026.10.13 登録日 2026.10.12
恋愛 完結 短編
冬の救貧院を三年かけて立て直したのは、伯爵夫人のヘレナだった。けれど王宮の叙勲の席で勲章を胸に着けたのは、夫のジェラルド。夫は報告書から妻の名を消し、出してもいない金貨まで書き足していた。そのうえ妻の名義の基金を自分に移せと迫り、王妃さまに礼状を書いた九つの孤児テアを遠くへやろうとする。ヘレナは静かに支えの手を引き、離縁を告げた。帳尻の合わない数字を見逃さない王立銀行の頭取の公爵と、字を教えた少女とともに、奪われた名前を取り返すまで。全六話。
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文字数 12,430 最終更新日 2026.10.12 登録日 2026.10.11
恋愛 完結 短編
「先月の夜会の段取りは、すべて私が組みました」――式部官補佐のノエミが四年かけて整えてきた灯りと楽の合図は、婚約者マティアスの手柄として報告された。失敗の責めだけを押しつけられ、祖母の形見の銀の鈴まで取り上げられて、婚約も白紙に。王宮を追われた彼女に手を差し伸べたのは、夜会嫌いで笑うのが下手な近衛隊長ギヨーム。そして「ノエミの鈴じゃなきゃ歩かない」と言い張る十歳の第二王子アンリだった。建国の夜会の入場が崩れかけたとき、小さな鈴がもう一度鳴る。全七話。
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文字数 12,392 最終更新日 2026.10.11 登録日 2026.10.10
恋愛 完結 短編
嫁いで七年。誕生日の朝には、いつも白薔薇が一輪届いた。不器用な夫の、年に一度の情だと信じていた。けれど誕生祝いの晩餐で、夫は愛人を「客人」と呼んで私の隣に座らせた。愛人がまとうのは、王妃さまのために織られた絹。そして夫は笑って言った。「花など贈ったことはない」では、七年分の花は誰が置いたのか。王宮への絹の取り次ぎも、その契約の名義も、私のもの。離縁して、全部引き上げます。元サヤはありません。迎えに来るのは、約束の時刻に一分も遅れない王妃さまの甥です。全六話。
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文字数 12,446 最終更新日 2026.10.10 登録日 2026.10.09
恋愛 完結 短編
「ほら、また震えましたわね」――王妃付きの助産師ロザリーは、叔母である助産師長に肘を打たれて湯をこぼし、「手が震える」と言いふらされて王宮を追われた。母の形見の木の筒も取り上げられ、行くあてもない彼女を門の外で待っていたのは、規則にうるさい侍従長のグレイ侯爵と、鞄にもぐりこんだ王妃さまの老猫ブランシュ。一方の王宮では世継ぎのお産が迫り、叔母はある秘密を隠していた――。震えていたのは、誰の手だったのか。全七話。
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文字数 12,451 最終更新日 2026.10.09 登録日 2026.10.08
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平民の仕立て屋の娘セリアは、貴族令嬢セリーヌの理不尽な要求により、彼女の身代わりとして婚約者リュカと会うことを強いられる。家族を守るため偽りの立場を受け入れたセリアだったが、リュカは本物のセリーヌより今の彼女を気に入り、積極的にアプローチしてくる。身分違いの偽りの恋が動き出す。
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文字数 37,215 最終更新日 2026.10.09 登録日 2025.11.14
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「春の社交界デビューは、愛人の連れ子を先にする」。夫はそう言い放ち、娘の名を王宮の名簿から消した。母から娘へ伝わる真珠貝の扇まで貸せと言われて、カトリーヌは決めた。娘と、味方してくれるお義母さまを連れて、離縁します。持参金を引き上げれば、伯爵家は立ちゆかない。偽の縁組は、デビューの名簿を預かる式部総裁の前で崩れ、春の大階段には娘の名が三番目に呼ばれて――。数え直しの人生に、姪を育てた侯爵さまの求婚が届く。全六話。
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文字数 11,992 最終更新日 2026.10.08 登録日 2026.10.07
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王女殿下の熱を三晩で下げた処方は姉の手柄に、発疹の濡れ衣は妹のわたしに。侍医の家の裏方として生きてきたエリーゼは、王宮を追われた夜、王妃陛下の兄君に呼ばれる。剣しか信じない武人公爵は、わたしの手を見て言った。「働いた手は、嘘をつかん」。薬を止めて王女さまを救い、御前の検分では姉と同じ処方を煎じ比べ――手が知らない者は、炉の前でごまかせない。五歳の王女さまの「星のにおい」が、最後の証になる。全七話。
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文字数 12,191 最終更新日 2026.10.07 登録日 2026.10.06
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結婚六年目の秋、王宮舞踏会。夫婦で踊る開幕の一曲を、夫は愛人と踊った――侯爵家の社交を六年間支えてきたのは、招待状の一枚から王太后さまとの縁まで、すべて妻のアメリアだったのに。ならば、その糸をぜんぶ引き上げて離縁します。招待の返事が来ない。縁談が流れる。王家の狩猟会から外される。音を立てて崩れる侯爵家を横目に、アメリアの前には「開幕の一曲を十二年間踊らない」北の公爵が現れて……。全六話。
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文字数 12,056 最終更新日 2026.10.06 登録日 2026.10.05
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「その脚を仕上げたのは、リーネです」――戦で脚を失った兵のための義足の披露の日。三年かけて作った脚を婚約者ディルクに自分の手柄として発表され、彼が勝手に削った脚が折れた責任だけを押しつけられた義足職人リーネ。父にも信じてもらえずに工房を追われ、婚約者は義妹のものに。けれど、彼女の脚で歩けるようになった男の子エミルと、片脚を失った王弟レオポルトが迎えに来て……。靴に隠れて誰も見ない五本の足指が、偽りを暴く。全七話。
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文字数 12,450 最終更新日 2026.10.05 登録日 2026.10.04
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