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この世界では、街は地図から消える。記録から地名が消え、人々の記憶から薄れ、やがて誰もその街にたどり着けなくなる――「白紙化」と呼ばれる現象が、各地で静かに進んでいた。
地図修復師の青年セト・アラヤは、傷んだ地図を直し、消えゆく街の手がかりを読み取る仕事をしている。湖畔の街リヴェルへの依頼を受けた彼は、鐘の音だけが響く霧の湖で、王立測量士リセと、地図の切れ端から生まれた紙の小鳥ピノと出会う。沈んだ集落の鐘、思い出を売り買いする亀の背の市場、声を盗む者、半日だけ時間がずれた人々……旅の先々で待つのは、消えかけた街々の謎と、人々のささやかな願いだった。
だが、失われた地名を読み取るたび、セトは代償として自分の大切な記憶を一つ失っていく。何を失ったのか、本人には分からない。そして街々を消し続ける「白紙院」の影は、セト自身の過去にも伸びていた――。
消えた街の名前を取り戻す旅を描く、王道ファンタジー冒険譚。本編全30章+番外編12話、完結済み。
文字数 42,005
最終更新日 2026.11.07
登録日 2026.11.05
ある朝、谷の水が真っ黒に変わった。
黒翼の谷の内政官カナタは、水路の異変を調べるため森へ向かい、監視員の娘リフィアと出会う。彼女の亡き母は、かつて同じ異変を調べ、聖都の管理局へ報告したはずだった。だが、その報告が受理された記録は、どこにもない。
森と谷は互いを疑い、管理局は調査団を送り込んでくる。調べるほどに、二人は森と谷の水の下で「重さ」が行き来していることに気づいていく。そして北の彼方には、人の名を呼ぶ「何か」がいた。
誰か一人が背負えば、どこかが沈む。分け合えば、立っていられる。母の遺した記録板を手に、カナタとリフィアは黒い水の正体と、消された報告の真相を追う。
水と均衡を巡る重厚な本格ファンタジー。全24章+幕間3話、完結済み。
文字数 7,780
最終更新日 2026.11.07
登録日 2026.11.07
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