すべてをやめるわけではありません。「軸を一つにする」と決めました。たとえば、イーロン・マスク氏は無限の体力を持つ「多動」スタイルの代表です。なぜ彼が複数の会社を持ち、いくつもの業界に関わっているのかと言えば、軸に「世界を変える」という目標があるからです。しかし、考えてほしいのです。あなたは、超人イーロンと同じ「世界を変える」というゴールを目指していますか? と。
私は、社会人になってから、週末になるとよくカフェで自分の過去をノートに書き出していました。辛かったこと、嫌だったこと、心が動いたこと。その中で一番大きかったのが、私自身の心臓病の経験でした。2歳で手術、21歳でも手術。その時の苦しさ、怖さ。その記憶に向き合ったとき、「これだ」と体が反応しました。鳥肌が立ち、体に電気が走るような感覚。「これをやるために生きている」と思えました。
26歳のとき、私の人生の軸が明確になりました。「心臓病で苦しむ人を幸せにすること」です。そこからは山登り型に切り替えました。多動スタイルを捨て、興味があっても、目的に関係なければやらない。 誘われても、軸から外れていれば断る。エネルギーを一点に集める。
多動は刺激的です。ですが、常に新しいことに手を出すと、脳も感情も休まりません。決断疲れも増えます。一方で、目的を一つに絞ると迷いが減ります。 迷いが減ると、体力の消耗が減ります。 消耗が減ると、継続できるようになります。超人と比較する必要はなく、あとは「ゴールに行くまで何を積み重ねるか」だけです。焦りを感じたら、「じゃあ今日は何を1つ進めるか」に変えていけばいいのです。
多くの人が人生の軸や、1つの目標に定めていません。軸を持ち、リソースをそのために使えば、体力が人より少なくても十分戦えます。もし人生の目標が「世界を変えたい」であれば、体力のない我々には確かに到達できないかもしれませんが、その人にしか持ちえない目標があるはずです。
「多動」は体力という土台があってこそ成立しています。しかし、私たち全員が体力お化けになる必要はありません。むしろ、体力が有限であることを前提に戦略を組み立てるべきです。多動を真似するのではなく、 自分のエネルギー容量を理解する。そして、その限られたエネルギーを一つの山に注ぐ。自分の体力に合ったペースで、計画的に積み重ねれば、ちゃんと前に進めるのです。