タフじゃなくても、ビジネスマン

「体力お化けに負けない」疲れやすいビジネスマンのぶち抜き戦略

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ビジネスの成功は“体力”で決まる--。成功者の多くは「体力おばけ」であり、24時間365日働いても疲れない、そんなイメージがあるかもしれません。確かに、体力があれば長時間働くことができ、毎晩飲み会に顔を出して人脈を作れます、インプットもアウトプットも、トライ&エラーも、体力があればいくらでもできるでしょう。しかし、体力という身体的な能力は、生まれながらの体質が大きいものです。また、年を取るごとに体力は目減りしていきます。「体力ありき」で考えるのではなく、「タフじゃなくても」結果を出す方法を模索することが長く働き続けるコツではないでしょうか。一流企業のゴリゴリの営業部で結果を出し、現在は起業家として活躍する秋山さんは、じつは先天的な心臓病を抱え、学生時代の怪我が原因で、視力が低下しています。「タフじゃなくても」結果を出す、ビジネスマンの働き方、考え方を教えていただきます。

24時間行動すれば、成功するのか

ニュースやSNSをみても、いわゆる「できる人」の根源には、圧倒的な行動量があります。少なくとも、筆者のこれまでキャリアの中で、「この人は本当にすごい」と心から思える上司に3人出会いましたが、いずれも共通していたのは「多動」、つまり無尽蔵な体力です。

例えば、昼は会議、商談、意思決定。夜は会食、打ち合わせ、次の企画。飲み会に参加しても、ただの付き合いではなく、そこから次のプロジェクトが生まれる。人と会うことがエネルギーになるタイプで、移動時間も無駄にせず、常に何かを動かしている……。私はその姿を見て、「体力おばけ」だと思いました。

しかし、このような「多動」には膨大な、心身ともの体力が必要です。「昼休憩くらいは、一人で心を休めたい」「夜の飲み会は、2次会まで出ると睡眠時間が削られる」「二日酔いで朝がきつい」……。体力が普通、もしくは人より少ない人は当然、「24時間働く」ことは不可能です。

そもそも、なぜ「多動」スタイルは成功するのでしょうか? 私が思うに、多動とは、興味や関心の赴くままに複数のプロジェクトや事業に同時並行で取り組み、圧倒的な行動量で物事を推進するスタイルのこと。一つに絞らない。 とにかく打席に立ち続ける。 思いついたらすぐやる。変化の激しい時代においては、確かに合理的な戦略です。試行回数を増やせば、成功確率も上がる。興味の幅が広いほど、掛け算も起きやすいのです。「多動力」という言葉が広まったのも、そういう時代背景があるからでしょう。

一方で、「ワンシング」という考え方もあります。一つに集中せよ。最も重要なことにエネルギーを注げ。私はこちらの考え方にも強く共感しています。なぜなら、自分自身が多動を試みて、うまくいかなかった経験があるからです。

体力なしリーマンがポンコツになる習慣

私は26歳まで、人生の明確な目的というものを持っていませんでした。ただ漠然と「成長したい」「できる人になりたい」という思いで、尊敬する上司を真似て「多動」を実践していました。

営業もやる。新規事業も関わる。ゴルフもやる。シェイカーを買い自宅でカクテルを作る。人脈を広げるために異業種交流会に参加する。能力開発のセミナーに参加する。社会人向けの勉強会を企画する。株式投資をやる。ワンルームマンション投資をやる。ボランティアをする……。

ただその動きは、私には疲れが多く、睡眠時間を削ると翌日のパフォーマンスが落ちて、1日使い物にならないポンコツな日もありました。就職活動中、ある人事の方が言った言葉があります。 「人の進み方には山登り型と川下り型がある」。山登り型は、山頂を決めて登る人。 川下り型は、流れに乗りながら進む人。当時の私は、完全に川下り型でした。面白そうな流れがあれば飛び乗る。刺激的な環境があれば挑戦する。それはそれで楽しかったし、経験値も増えました。ですが、一方でいずれも中途半端で、やってみただけのやりっぱなしが多いのが正直なところでした。

また、なんといっても疲れるのです。物理的にも、精神的にも疲労困憊になりました。多動は、エネルギーを大量に消費します。新しいことを始めるたびに、「脳の体力」を使う。人と会えば気を使う。企画を立てれば考え、走らせなくてはいけない。そして私は、体力が無限ではない人間です。

その時、はっきり分かりました。あの人と同じ動き方は、私にはできないと。そして焦りが生まれます。「自分は足りないのではないか」「もっとやらなければならないのではないか」。でも冷静に考えれば、違うのです。体力も回復力も人によって違う。

体力が無限に近い人にとって、多動は合理的です。複数の種を同時にまけば、その中から大きな木が育つ可能性が高い。しかし、体力が有限な人が同じことをすれば、エネルギーが分散し、どれも中途半端になるリスクがあります。私はある時、決断しました。多動をやめる。つまり興味があるからといってなんでも飛びつくのをやめました。

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プロフィール

秋山典男
秋山典男

コルクレド株式会社代表取締役。1990年東京都生まれ。学習院大学卒業後、ソフトバンク株式会社で法人営業や新規開拓プロジェクトに従事。その後、Indeed Japan株式会社で中小企業向け営業を担当し、最短で昇進、チームリーダーを務める。2020年に起業し、心臓病のある人の就労支援メディア「はとらく」を立ち上げた。自身も先天性心疾患の当事者であり、高校時代の部活動中の大けがで視力低下も経験。現在はNPO法人ハートキッズジャパン理事、埼玉県心臓病者友の会代表としても活動し、自身の経験をもとに、無理に強くならなくても前を向いて生きられる社会づくりに取り組んでいる。

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