ズボラお金術

「そろそろお金のことちゃんとしなきゃだけど、面倒くさい…」ズボラなままお金が貯まる簡単な方法

2026.05.12 公式 ズボラお金術 第1回
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頑張らない、我慢しない、でもお金は貯まる

この連載を通してお伝えしていくのは、いわゆる「意識の高い」人のための内容ではありません。
以下のような人たちに向けて書いていきます。

・財布の中にいつ入れたかわからないレシートがパンパンに詰まっている人
・クレジットカードの明細を見るのが怖くて、引き落とし当日に祈るような気持ちで口座を確認する人
・「自分へのご褒美」が多すぎる人
・NISAやiDeCoが良いとは聞くけれど、口座開設の手間を考えただけで挫折してしまう人

そんな「かつての私」のような人たちに向けて書いていきます。難しい専門用語や、続かないやる気でどうにかする根性論のような話はいっさい排除するつもりです。
代わりに、ズボラな人間がどうすればお金を守り、増やしていけるのか。そのための「最短ルート」だけを詰め込みたいと考えています。

お金の不安は、あなたの人生から「自由」を奪います。でも、その不安は「知る」ことで消し去ることもできます。
恐怖が消えれば、心に余裕が生まれます。心に余裕が生まれれば、あなたの人生はもっともっと、楽しくてラクなものになるはずです。
重い腰を上げる必要はありません。寝転びながらでも構いません。お風呂に入るのを先延ばしにしている、その合間に読んでみてください。
ズボラなままでも大丈夫。ラクにお金と仲良くなるための方法を学んでいきましょう。

お金の恐怖と戦うためのざっくり三銃士

お金と仲良くなるための最初のステップとして、お金に対する恐怖を取り除くための3つの方法をお教えしたいと思います。

ズボラさんの中には、お金に対して漠然とした恐怖感や不安感を持っている方も少なくありません。
そこで、まずお伝えしたいのは、そうしたお金への恐怖や不安の正体は、実はシンプルで「知らないこと」そのものだということです。

たとえば、深い霧の中を車で進んでいるとします。そんな中を、ライトなしで運転するのは誰にとっても恐怖です。運転が上手い人であっても、下手な人であってもそれは一緒でしょう。でも、強力なライトで霧の先を照らして、道が見えさえすれば、とりあえず前には進むことができます。
お金の問題で動けなくなっているとしたら、車の運転のようにお金の運転の仕方が下手なのが原因ではありません。ただ、足元を照らすためのライトを持っておらず、自分の今の状況も、ちょっと先の状況も、見えていないだけなのです。

そこで、お金の恐怖と戦うために、次の3つのことだけ事前におさえておきましょう。この3つがいわば足元を照らすライトになります。どれもざっくりの把握で大丈夫です。
この3つを私は、「お金の恐怖と戦うためのざっくり三銃士」と呼んでいます。

1.自分の最低限をざっくり知る
2.「生活費」の内訳をざっくり把握する
3.「決済サービス」への不信感をざっくり払拭する

今回は、「1.自分の最低限をざっくり知る」だけ解説します。

自分の最低限をざっくり知る

「お金がなくなったらどうしよう」という不安。これを解消するためにまずやるべきことは、自分が最低限いくらあれば生きていけるのか、その最低限の金額を具体的に知ることです。
多くの人が「もっと稼がなきゃ」「もっと貯めなきゃ」と上ばかり見て焦っていますが、その前に本当に必要なのは、最低限を知ることです。
上を見ることではなく、まず下を見ることが大事なのです。

自分が耐えられそうな最低限の家賃、最低限の光熱費、最低限の食費、トイレットペーパーなどの、ないと普通の生活ができなくなってしまうような日用品の最安値。それらを把握してますか?
これらが頭に入っていると、もし明日、仕事がなくなっても、あるいは収入が激減しても、「毎月○○円だけあればとりあえず暮らせる」という具体的な数字がわかるようになります。なので、一度計算してみてください。

あれもこれも、と複雑にしなくても大丈夫、ざっくりで結構です。最悪の事態をシミュレーションし、「意外と月○○万円あれば、工夫次第で生きていけるかも」と気づくことが大切です。
もちろん、最低限の費用なので、楽しみにかかるお金は削らないといけません。しかし、最低限を知っておくことで、いろいろと気づけるようになります。

とはいっても、これらを具体的に把握するのは難しいですよね。
そこで、最低でも月にどのくらいのお金が必要なのかをざっくりと知れる、具体的なワークをしてみましょう。
ワークといっても難しい作業ではありません。
以下の6つの項目を埋めるだけで、自分にとっての最低限の費用がだいたい把握できるようになります。
これは私が実際に、お金のことが苦手なお客さんに最初に聞いている、ごく初歩的な質問です。
なお、リストの右側には、総務省統計局の「家計調査」(2025年)を参考にした単身世帯・男性・34歳以下の全国平均金額を一例として入れてあります。参考にしてみてください。

項目 あなたの費用 単身世帯・男性・34歳以下の例
①家賃   3万円
②食費   4万円
③光熱水道費   1万円
④スマホ代   5,000円
⑤日用品代   5,000円
⑥その他   1万円
合計   10万円

 

どうだったでしょうか? 思ったよりも多かったという人もいれば、意外に少ないと思った人もいると思います。もちろん、最低限の費用はこの限りではなく、人によっては医療費が必須の支出であったり、交際費が毎月かかっている人もいると思います。その場合はその他の項目に記載してみてください。

ちなみに、政府が出しているデータによると、単身者の男性の場合、およそ17万円程度が平均的な月の支出額とのこと。
ただ! 他の人が月にどのくらいの金額で暮らしているかは気にしなくてもいいです。家計は他の人と比べるものではありません。
先日とあるお客様に、「会社の昼休みに、みんな株や投資の話をしている。自分も何か新しく始めた方がいいんでしょうか?」と聞かれました。
私は「まずは家計を整えることが優先です。安定してNISAで投資信託を積み立てられるようになりましょう」と答えました。

他人と比較して自分は正しいかを確かめたくなるのが人間の性ですが、何も比較する必要はありません。特に、家賃はエリアや実家か賃貸か持家かによっても大きく異なるので、平均値もあまり参考にしないほうが良いです。
あくまで、自分の最低限はどうか、ということを大切にしてください。

自分の最低限をざっくり知るだけで、実体のない恐怖を、具体的な数字という事実に置き換えられるようになります。
それができるようになると今度は、「最低限の生活費をどう確保しよう?」や「より快適に暮らすためには、何にお金をかければいいだろう?」といった、新たな疑問も浮かんでくるでしょう。そうなると、より具体的な手段が取れるようになるのです。
いずれにしても、よくわからないままに怯えたり、無理に稼ごうとしたり、貯めようとしたり、節約しようとしたりといったことから解放されるのです。

まずは、「自分の最低限をざっくり知る」。最低限を数字で把握することが重要なのです。

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プロフィール

岩切健一郎
岩切健一郎

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®。1986年生まれ。29歳で適応障害とADHDの診断を受ける。コンサルティング会社から外資系保険会社の営業職を経て、現在は保険代理店に在籍しながらフリーランスのファイナンシャルプランナーとして活動中。自身が発達障害当事者であり、過去には借金を背負い生活が苦しかった時代も。「お金の専門家」でありながら「お金に苦労した当事者」という二つの視点を生かし、SNSやインターネットを通じて全国から寄せられる相談に応じている。自身の経験に基づいた当事者に寄り添うアドバイスには強い説得力があり、お金の苦手意識が強い人や発達障害当事者はもちろん、その家族からも厚い信頼を得ている。

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