リーダーシップの身につけ方

リーダーに求められるものとは-16

2016.08.22 公式 リーダーシップの身につけ方 第22回

日本のリーダーが磨くべきスキル

38 徳と才のバランスが大切

真のリーダーになるために必要な能力。細かく挙げればきりがないのですが、私は「徳」と「才」のバランスが大切だと考えています。

「徳」とは、世の中や周りの人に貢献しようとする心のことです。
「あの人は人格者だ」「あの人は人徳者だ」などと呼ばれる人がいます。
そういった人は、人を思いやれる人です。揺るぎない信念を持った人や、大変な苦労をした人の中にそのように呼ばれる人が多くいます。
そういった人は、しっかりとした自分のミッションをもっており、日々の行動においても人を思いやりながら、人として正しい行動をすることができます。

一方の「才」とは、戦略的に物事を考えられる頭の回転の速さや、財務の知識などのスキルの部分を指します。
最近では、こういったスキルを得るためにビジネススクールでMBAを取得するビジネスパーソンも増えています。

企業の中には、自社内でビジネススクールを立ち上げるところもあり、多くの管理職が受講しています。教材は実際にビジネススクールで使用する教材のほか、実在の企業のケーススタディがメインとなります。
大学教授や経営コンサルタントが講師となり、企業財務や事業戦略などの手法をみっちりと学び、分析し、社長に経営改革の提言を行うのです。

私は、リーダーにはこの「徳」と「才」の両方がバランスよく求められると思います。
しかし日本の教育を振り返ってみると、この「才」の部分のみに注力しているように感じます。リーダーを目指すほとんどの人にとって、私は「才」よりもむしろ「徳」の部分を今後強化していく必要があるのではないかと考えています。
企業内での研修でもスキル研修のみを行っている企業が大半ですが、役職が上がれば上がるほど、もっと人としてどう生きるかという「徳」の部分に重点を置くべきだと思います。

さて、ここで第5回の課題です。
『あなたは普段、「徳」と「才」バランスをどれくらい意識していますか? また、そのバランスの理想の状態はどういう状態ですか?』です。

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プロフィール

岩田松雄
岩田松雄

1958年生まれ。大阪大学経済学部卒業後、日産自動車株式会社に入社。同社にて幅広い業務を経験後、米国UCLAアンダーソンスクールに留学。その後、外資系コンサルティング会社ジェミニ・コンサルティング・ジャパン、日本コカ・コーラ株式会社役員を経て、株式会社アトラス(ゲーム会社)の代表取締役として、三期連続赤字の企業を再建。さらに株式会社タカラ常務取締役を経て株式会社イオンフォレスト(ザ・ボディショップ)の代表取締役に就任。店舗数を一気に増加させ、売上を67億円から約140億円に拡大。そしてスターバックスコーヒージャパン株式会社のCEOとして「100年後も光輝くブランド」というコンセプトを掲げ、業績を急回復させ再成長させる。これらの功績が認められ、UCLAビジネススクールより全卒業生3万7000人の中から「100 Inspirational Alumni」
('92年卒業生ではただ一人)に選出される。
現在は株式会社リーダーシップ・コンサルティングの代表取締役CEOであり、次世代のリーダー育成に注力する傍らで、立教大学の特任教授として教鞭もとっている。主に「リーダーシップ」に関するテーマにてこれまで著書は30万部を超える『「ついていきたい」と思われるリーダーになる51の考え方』はじめ多数。「リーダーシップ」に関する日本の第一人者として日本のビジネス界を牽引する人物である。
HP: http://leadership.jpn.com
Facebook: https://www.facebook.com/Leadership.jpn?pnref=lhc

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