Z世代を甘やかすな

「これって僕が悪いんですか!?」Z世代社員を叱るとブチギレ、号泣、SNS晒し……職場で浮く部下への指導法

2026.07.17 公式 Z世代を甘やかすな 第15回
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「残業したくないんですよね」「それって僕の仕事ですか?」「飲み会ダルいんで行きたくないです」「そのやり方タイパ悪くないですか?」

指示は素直に聞かず、指導をすれば「それってパワハラですよね?」と口答え。世間は「価値観のアップデート」を強いてきて、Z世代への指導はどんどん弱腰になってしまう。好き勝手にふるまうZ世代部下のおかげで、職場の空気は弛緩する一方です。つけあがってさらにモンスター化するZ世代部下は、あらゆる職場に出現し、管理職を困らせています。そんな現状に、ビジネスライターの黒坂岳央さんは「Z世代を甘やかしてはならない」と警鐘を鳴らします。Z世代部下にかき回された職場を正常化するために、Z世代を甘やかさない、毅然としたコミュニケーションを身につけましょう。

ブチギレZ世代社員に振り回される管理職

Z世代社員の勤務態度にはげんなりする。毎日10分遅刻する、指示を無視してミスをする、頼んだ資料は締め切りを破ったうえ内容はAIのポン出し……。なによりうんざりするのは、それらの舐め切った勤務態度を指導すると、ブチギレ、号泣、ついにはSNSでの都合のいい暴露を行うということだ。

かつての会社員は、ミスをすれば大勢の前で叱責をされ、恥をかくとともに「二度とこんなミスはしない」と強く胸に誓ったものだ。しかし、現代の管理職はまず「大勢の前で恥をかかせてはいけない」と講習で習う。そのため、会議室を予約し、「ちょっといいかな?」とZ世代部下を呼び出すことになる。そして、「あの件、どうして指示通りにやらなかったの?」と、注意深く優しいトーンでZ世代部下に問いかける。するとどうなるか。

彼らは瞬時に涙を浮かべ、ポロポロと泣き出す。あるいは急に不機嫌になり、「なんで僕ばかり!」と逆ギレして口を閉ざす。怒鳴ったわけでも人格否定をしたわけでもない。業務の進捗を確認しただけだ。それなのに彼らは一瞬で感情を爆発させる。管理職は「これ以上言ったらパワハラでは」「辞められたら自分の管理責任になる」という恐怖がよぎり、結局「まあいいよ、こっちでやっておく」と引き下がることになる。

叱られ経験の絶対量が減っている

なぜ、Z世代は「打たれ弱く」「メンタルが弱い」のか。まず彼らは生育環境からして、「叱られる」という経験そのものの総量が、構造的に減少している。
第一に、指導する側の手足が縛られた。2013年の大阪市立高校バスケ部体罰自殺事件を契機に、学校現場での威圧的指導は制度的に禁止対象となった。2022年改訂の生徒指導提要では、指導のあり方そのものが厳格に規定され、教員が生徒に対して強く踏み込む指導を行うこと自体にリスクが伴うようになった。教育現場は「叱る」から「傷つけない」へと重心を移した。

かつては学校教師の中には怖い人物もいたし、クラスメイトのケンカは日常茶飯。ケンカをしたら「ケンカ両成敗、お互いごめんなさいで終わりにしよう」という、ともすると雑な処理だった。だが今、筆者の子供の授業参観へ行くと「子供を尊重」「多様性をリスペクト」という言葉がとにかく出てくる。過去に我が子がクラスの子とぶつかったことがあったが、担任教師からは「とにかく衝突することを避けなさい」という指導がなされた。教師がZ世代だったというのもあるのか、「衝突すること自体がとにかくダメ」という印象を強く受けた。

第二に、家庭内での摩擦の絶対量が減った。少子化により兄弟姉妹間で日常的に衝突し、譲り合い、時に理不尽な負けを経験するという機会そのものが縮小している。一人っ子世帯が増えれば、家庭内で自分の思い通りにならない他者と対峙する訓練の総量は、単純に減る。実際、筆者の子供は2人いるが、ほぼ毎日のようにケンカをしては5分後に楽しく追いかけ合いをしている。

この反復によって上の子は「妹はここまではセーフ、これを超えると怒る」という他者の限界値を体感的に学習しつつある。摩擦の絶対量が耐性を育てるという因果自体は、今の子育て環境でも再現可能だ。だからこそ、一人っ子世帯の増加という統計的事実は、この学習機会が構造的に得られない子供を増やしているという意味になる。

つまり彼らのメンタルが「弱くなった」のではない。叱られる、否定される、思い通りにならないという負荷に晒される絶対量が、学校・家庭の両方で構造的に減少した結果、負荷への耐性が育つ機会自体が失われたのだ。これは個人の甘えではなく、上の世代が意図的に、あるいは制度によって強制的に作り出した環境の産物である。

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プロフィール

黒坂岳央
黒坂岳央

経営者。ビジネスジャーナリスト。1981年、大阪府生まれ。
関西外国語大学在学中、デポール大学(米国)へ留学、会計学を専攻する。卒業後、ブルームバーグ、現SpireX株式会社、コカ・コーラボトラーズジャパン株式会社を経て独立。現在は経営の傍ら、幅広い人脈を活かした取材力を武器にジャーナリスト・コラムニストとしても活動。新聞やWebメディアへの寄稿をはじめ、テレビ・ラジオなど多彩なメディアに出演し、独自の視点から情報発信を行っている。『なめてくるバカを黙らせる技術』(アルファポリス)をはじめ著書多数。

著書

なめてくるバカを黙らせる技術

黒坂岳央 /
世の中「なめてくるバカ」が多すぎて、共感、感動、絶賛の声殺到! 大人気Web連...
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