労働に向き合わず、「辞めようかな」「転職サイトに登録した」「この会社遅れてるからな~」と、退職や転職をちらつかせながら、一向に辞めないZ世代社員を、放置するのは悪手である。彼らは一人前の仕事をしないだけでなく、周囲の士気を下げるのだ。対応する上司や同僚はもちろん、まだ右も左も分からない新入社員などは、この会社の悪口を連呼する先輩に多少なりとも影響されるだろう。そして、腐ったみかんのように、少しずつ企業文化が堕落してくのである。
「辞める」を連呼するZ世代に対し、どのように対処すべきか。まず、「辞める」という言葉に対して、「退職の自由」と「契約の履行」を切り分けて対応しなければならない。
STEP1「退職は労働者の正当な権利だ。君の選択を尊重する」とあっさり認め、引き留めという相手の期待を裏切る。
SETP2「ただし、退職日が正式に決まり、この会社を去るその瞬間までは、労働契約が継続しており給与が発生している。今日の業務を放棄することは契約違反になる」と、現在の法的・論理的な立ち位置(インパクト)を冷徹に突きつける。
STEP3「人事に退職願のフォーマットを手配しようか? それとも今日の午後の営業リストの作業に戻るか?」と、具体的な手続きを進めるか、目の前の業務を遂行するか、今すぐ行動(ToDo)を選択させる。
この3STEPを利用することで次のような指導になる。
部下「これ以上、こんな高い目標を求められるなら、精神的にもたないので辞めようと思います」(「辞める辞める詐欺」を発動し、きつい業務から逃げようとしている)
上司「……わかった。職業選択の自由は君にあるし、退職は君の正当な権利だ。その意思は尊重する。退職願のフォーマットは社内ポータルにあるから、記入して明日の朝イチで提出してくれ」(引き留めを行わず、退職への具体的な手続きを提示)
部下「えっ……あ、いや、今すぐ辞めると決めたわけじゃ……」
上司「そうか。だが、辞める辞めないにかかわらず、今現在、君がこの会社から給与を受け取っている事実は何も変わらない。退職するその日まで、プロとして与えられた目標に対する業務を遂行しなさい。今日の午後の営業リストの進捗はどうなっている?」(仕事をするか、退職するか、本来はその2択であると突きつける)
部下「……営業リストを、今から作成します」(退職を選べないため、仕事に戻る)
なお、このようなやり取りのあと、Z世代社員は「辞める」とは言いださないまでも、不機嫌な態度を隠さないかもしれない。幼稚ではあるが、管理職も人間。もしかすると「歩み寄り」をしてしまうかもしれない。しかし、決して歩み寄ってはならない。
例えば「とはいうものの、嫌なことがあるなら、飲みにでも行くかい?」と誘ったが最後、Z世代社員は「さっきは詰めてきたくせに、後になって急に優しくなった。ということは、上司自身もさっきの指導はパワハラまがいで言い過ぎた、自分が悪かったと自覚しているから、焦ってご機嫌取りに来たんだな」と、都合よく脳内変換するのだ。
したがって、指導後は「何もしないこと」のが正解である。何事もなかったかのように、極めてフラットなトーンで「じゃあ、営業リストのデータを見せて」と通常の業務コミュニケーションに戻るのだ。
このように冷徹な理論を貫徹し、ビジネスライクに接することで、Z世代部下は自らが「お客様」ではなく「労働者」であることを自覚する。管理職は、彼らに寄り添う優しい親になることを諦め、契約とルールを冷酷に執行する「システムの番人」にならなければならないのだ。
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