人事はあなたのココを見ている!

人事のプロから見た、会社で圧倒的に評価を得る社員の特徴

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言い訳ばかりする「タラレバ社員」も要注意

「もっと営業が頑張っていたら、絶対に売れていたのに」
「時期さえ早ければ、この企画は成功していた」
「もっと人が足りていたら、こんな結果にはならなかった」

このように「○○していたら」と仮定の話を持ち出して、失敗の言い訳をする「タラレバ社員」も、ほとんどの経営者が嫌っているタイプの代表格です。

「スケジュールがあったら……」
「予算があったら……」
「設備が整っていたら……」

仕事をしていれば、そう言いたくなる場面はあるものです。しかし、そうしたタラレバ発言はNGです。

「そんな条件、整うわけがないだろう!」

多くの経営者がそう叫んで、怒りを露わにする場面を私は何度も見てきました。

仕事に「タラレバ」はありません。今ある状況で何とかするのが、高い評価を得ている人たちなのです。

「性格」は変えられなくても「行動」は変えられる

では逆に、経営者に好まれるのはどんなタイプなのでしょうか?
実はこれも、ほぼ共通しています。

ほとんどの経営者が求めているのは、「明るく・元気で・素直な人」です。

明るい人は、楽観性が高く、物事をポジティブにとらえます。リスクを考えるよりも、行動することに意義を感じます。

元気な人は、エネルギーの総量が多く、ストレス耐性も高い。不確定な状況でも、前に進める強さを持っています。

素直な人は、周囲の意見に耳を傾け、他者の教えを謙虚に受け入れます。改善すべき点があれば、すぐに行動に移します。

経営者に限らず、各社の人事に「求める人材像」について尋ねると、どの企業からもほぼ同じ回答が返ってきます。
つまり「明るく・元気で・素直な人」が、最も高く評価されるタイプなのです。

もちろんそれだけではなく、実際の評価の項目は多岐にわたりますが、すべてのベースはここにあると考えても間違いはなさそうです。

とはいえ「そんなこと言われても……」と思う人も多いのではないでしょうか。たしかに「明るく・元気で・素直」は、その人の性格に起因するものです。ましてや人の性格は、先天的な要素が大きく、簡単に変えることは難しいと言われています。

しかし、「性格」を変える必要はないのです。「行動」を変えればいいのです。

もしあなたに「評論家タイプ」の傾向があるなら、口だけではなく、考えたことを実行に移す。

言い訳しやすいタイプなのだったら、「○○していたら」という「タラレバ発言」は禁句にする。

「明るく・元気で・素直」な性格でなくても、ポジティブな発言を心掛け、積極的に行動し、人の意見に耳を傾ける。

人の内面は、見えません。評価の対象となるのは、数値化できる「成果」と、可視化できる「行動」のみです。

たとえ心の中では違うことを思っていたとしても、「明るく・元気で・素直」に見える「行動」を取っていれば、評価は上がります。
この逆は、他の評価項目が仮に良好でも、あなたの評価の足を引っ張ってしまうのです。

どの企業も社員に求めているのは、成長と変化です。人事は、面接や適性検査などを通じて、実は社員の性格すらも把握しています。だからこそ「成長や変化」もきちんと見ています。

自身の「行動」を変えて、成長・変化が認められる社員は、評価も、給与も高くなり、昇進できます。

会社は何を求めているのか。どんな社員が評価されるのか。正しく認識して「行動」を変えていきましょう。

次回に続く

 

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プロフィール

西尾 太
西尾 太

人事コンサルタント。フォー・ノーツ株式会社代表取締役社長。「人事の学校」主宰。
1965年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。いすゞ自動車労務部門、リクルート人材総合サービス部門を経て、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)にて人事部長、クリーク・アンド・リバー社にて人事・総務部長を歴任。
これまで1万人超の採用面接、昇降格面接、管理職研修、階層別研修、また多数の企業の評価会議、目標設定会議に同席しアドバイスを行う。
汎用的でかつ普遍的な成果を生み出す欠かせない行動としてのコンピテンシーモデル「B-CAV45」と、パーソナリティからコンピテンシーの発揮を予見する「B-CAV test」を開発し、人事制度に活用されるキャリアステップに必要な要素を体系的に展開できる体制を確立。これまで多くの企業で展開されている。また2009年から続く「人事の学校」では、のべ5000人以上の人事担当者育成を行っている。
著書に『人事担当者が知っておきたい、10の基礎的知識。8つの心構え』(労務行政)、『人事の超プロが明かす評価基準』(三笠書房)、『プロの人事力』(労務行政)、『人事の超プロが本音で明かすアフターコロナの年収基準』(アルファポリス)、『超ジョブ型人事革命 自分のジョブディスクリプションを自分で書けない社員はいらない』(日経BP)などがある。

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