ストレスに強く、自己肯定感が高くなる おばけメンタル

「突然心が折れる日本人」がやっていない、ただ一つの習慣

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はじめに

突然だが、昨今のゲームは素晴らしい進化を遂げているそうだ。
タブレットでできたり、自宅に置いてあるゲーム機を遠隔で操作したりと、特に操作性の進化が目覚ましいと聞いた。
結構なことだ。大人にも子どもにも遊びは大事だと思うし、今やゲームも国内外で一大産業である。かく言う私も、学生時代はベタに勇者が魔王を倒しに行く系のRPGにハマり、週三で魔王を倒していた。魔王もたまったものではなかっただろう。ほぼバイト間隔で滅亡する魔王の身にもなってあげたい。よく考えたら思い出も多い。主人公の仲間たちの能力を強化したいがために、半ば強制的にジョブチェンジさせていた。さっきまで魔法使いだった人間を、突然モンク(僧)にしたりもした。
魔法使いに何があったのだ、突然の出家である。かと思えば、モンクの次は吟遊詩人にジョブチェンジ。僧になるどころか突然のパーティーピープル爆誕である。出家先の寺で何があったんだ。

社会人になって、そんなゲームの勇者や仲間たちのうらやましい点は、やり直しがきくことや、魔法が使えることはもちろんのことだが、一番はもっと身近な点にある。
最もうらやましいのは、自分の体力やステータスなどの限界値が見えることである。
よく考えるとこれはすごく便利なことで、仮に自身の体力がどの程度かを可視化できた場合、風邪をひいたりケガをしたりしたら、自分があとどの程度で戦闘不能や死亡に近づくかが分かることになる。
これは素晴らしい。医療も看護も老後も救われることこの上ないだろう。

一方、見方を変えれば病気やケガは分かりやすいものでもある。
せき込んだり、血が出たり、息切れしたりと、限界に近づけば近づくほど状態異常が可視化される。
だが、メンタルはそうはいかない。
心が血を流す姿や、息切れている姿を見たことがある人はいるだろうか? 物理的に存在しない以上、それはきっとないはずだ。
メンタルにおける一番と言ってもいい恐怖、それは「自分の限界が見えないこと」。まさにこれそのものなのだ。

自分のメンタルのキャパを定量的に説明できる人なんていない

多くのビジネスマンや、人生やり手の方々は、口をそろえて「自分のメンタルをコントロールしたり、キャパを知ることは大事」と言うが、その自身のキャパを他人に説明して完全に理解してもらっている人はきっといない。
なぜなら、メンタルにもダメージにも単位がないからだ。単位がないものは何をもってしてもはかれず、共通認識やイメージが持てない。当たり前である。
そんな中で、私たちは何ができるだろうか?

メンタルの限界量も見えない、今日訪れるダメージも分からない。そして今どんな状況かも把握しきれない。
そんな私たちが、メンタルのキャパオーバーをしないためにできることが一つだけある。
そう、「回復し続けること」だ。

先ほどの勇者のゲームの例えに戻ろう。
仮に、体力(HP)不明の主人公がいたとする。その主人公が、魔王から攻撃を受けた。攻撃の強さは分かるが、肝心の残りHPが不明だ。
さあどうする! 勇者が死んだら世界が滅びる! 勇者よ! お前は週三で魔王に勝たなければいけないのに!

もちろんここで皆さんが取るであろう選択肢はコレである。
「とりあえず、回復しとこう!」

そう、とりあえず回復。少なくとも今もらった魔王の攻撃以上の回復をすれば、勇者のキャパが限界に近づくことはなくなる。
少なくとも倒れないことは約束できる。
魔王にボッコボコにされながらも、定期的かつ強制的に回復の機会を設けることは、見た目こそ格好悪い。しかし、勇者は不滅で、見方によっては安定すらしている。だってとりあえず、倒れないし負けない。この勇者はもはや、勇者というよりだるまさんに近い。激しめの七転び八起き。七回攻撃されたら八回は回復する。だるまさんほぼゾンビである。不滅、ゆえに無敵。だるまさん フォーエバー。

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プロフィール

おばけ3号
おばけ3号

作家・コラムニスト&インフルエンサー。1990年生まれ。
X(旧Twitter)にて、フォロワー数10万人超のインフルエンサーとして日常の愉快な話や、人々や社会とのコミュニケーションの関わり合いの手法を発信。聡明かつ鋭い視点と分析力に富んだ意見で、多くの企業・メディア・働く若年男女層の評価を得ている。
その実像は都内のコンサルティング会社に勤務する、現役のコンサルタント。
大手上場企業に対するSNS活用コンサルティングサービスの提供や、SNS活用セミナー登壇など多くの実績を擁する。
2020年より、タウンワークマガジン(リクルート社)へのコラム掲載や、株式会社ヴィレッジヴァンガードコーポレーションとのコラボレーション商品の開発販売等を実現し、自著『「お話上手さん」が考えていること 会話ストレスがなくなる10のコツ』をKADOKAWA社より発売。

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