ストレスに強く、自己肯定感が高くなる おばけメンタル

「不安」と「後悔」を撃退する意外すぎる方法

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はじめに

忙しい時に限って、考えなくてはいけないことが発生する。
暇な時に限って、結論なんて出てこないことを考えてしまう。

皮肉すぎる、なんでなんだ。人生難しすぎるだろ。
そもそも、なんだこの不条理たちは。一列に並んでもらって、順番にビンタしたい。そのまま格闘技大会に持ち込み、プロレス技をキメて、二度と私の前に出てこられないぐらいになるまで躾(しつ)けたい。

何度そんなことを思っただろう。妄想の中で、格闘技リングの中で、私は人生の不条理をコテンパンにしてきた一方、現実世界では人生の不条理に毎日コブラツイストをキメられている。
ちなみにコブラツイストとは、2022年に悔しくも亡くなったアントニオ猪木さんの得意技である。
彼は「元気ですか!」と問いながら、闘魂注入と称して、世の人々を元気づける気合のビンタをして回る、日本を代表するプロレスラーであった。
というか、日本を代表するプロレスラーにビンタをされるのだから「元気ですか!」どころではない。「いや、そのビンタで元気じゃなくなるだろ、なんだその矛盾と破壊力は」とツッコミたくもなる。

話を戻そう。
人間は時間に追われながらも、たまにできた時間を持て余す生き物だ。しかし、なぜかここでも「多忙」と「暇」により精神的な余裕がなくなっていく。
忙しければ「ああ、もっと時間をかけて考えたいのに!」と。
暇なのであれば「ああ、無駄なことを考えてしまう!」と。
見方を変えれば、時間があってもなくても満足しない、贅沢な生き物だ。もう一度言うが、それが人間という生き物だ。

一般的に「多忙」、つまり「忙しい」ことは、漢字そのものが「心(りっしんべん)」を「亡くす」と書くように、あまり自分のメンタルにとって良くない印象を持たれることが多いが、実はそんなマイナスの一面だけではない。
先ほど述べたように、結局暇でもメンタルは余裕がなくなっていく。一概に忙しいことが悪く、暇なことが良いというわけではないのは、これを読んでいるみなさんも何となく心当たりがあるだろう。

逆に言うと、「多忙」や「暇」は、コントロールさえできれば、自分のメンタルをもコントロールできる価値を秘めているのだ。
本日は、そんな「多忙」と「暇」をコントロールし、人生に役立てるテクニックを伝授したい。

後悔と不安を一撃で葬る、「多忙」という価値

社会心理学の専門家で、自由時間が幸福度に与える影響について研究しているキャシー・ホームズという学者がいる。
彼女は、自身の研究発表の中で、「人は忙しすぎて時間貧乏になると気分が落ち込み、ストレスが増え、感情的に疲弊するのは確かである。しかし、逆に自由時間が多すぎても、人の幸福度は上がらないことが調査で得た結論である。自分の余暇や多忙度合いをコントロールし、理想的な忙しさや余暇を持つことが幸福につながる(※一部要約)」と展開した。
分かりやすく言うと、「多忙でも暇でも人間は満足しないから、それらを自分の満足いく程度にコントロールするほうが幸せになるよ」ということだ。
さらに端的に言うと、「幸せになりたいなら、忙しさをコントロールしろ」である。

一見、「そんなこと言われてもな……」という印象を受けるこの一言だが、実は多くの人々は、これを言われる前に既にその経験がある。
例えば、仕事が間違いなく年内トップクラスに忙しい時。目の前にあること以外に思考を割いている場合ではない。もはや、戦争である。
そんな状況で「ちょっと結論出ない問題でも考えてみようか」などと周りに言われたら、「うるせええええええええええええええええ!!!! 今忙しいんだよ!! 引っ込んでろ!!」とでも怒鳴ってしまいそうになる。いや、そう言うべきだ。実際忙しいし。

これは、一見仕事上でピンチに遭遇した一幕にしか見えない。だが、よく考えてみると「多忙」が悩みを蹴散らしている。
しかも勢いよく、一撃で。

私が普段から説いていることだが、人間の悩みは大別すると2つしかない。
「未来への不安」と「過去への後悔」。この大きな2つだ。
人間の悩みは完全にこれらのどちらかに分類される。

そんな中、人間が暇なときに考えることのナンバーワンは、「過去への後悔」だろう。
もう戻れない過去における、どうしようもなかった事故や事件。それを憂い、悩み、反芻(はんすう)し、メンタルにダメージを受ける。
例えば、自分の過去の仕事のミスを何回も脳内再生して、何回も上司に思い出の中で怒られる。何回も同じ反省をし、何回も同じ涙を流す。
それはさながら、生き地獄だ。
その生き地獄は、暇な時に話しかけてくる。
「ねえ、あの時なんでこうしなかったの?」
「なんでそんな結果になってしまったの?」

時間があれば、つまり暇な時ならば、それに応対し傷つくこともできるが、先ほど言ったように、多忙な時は再び「うるせええええええええええええええええ!!!! 今忙しいんだよ!! 引っ込んでろ!!」と言うべきである。
多忙は、不安にも後悔にも勝る。
忙しいということ、つまり今を頑張るということは、不安と後悔からの解放を意味するのだ。

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プロフィール

おばけ3号
おばけ3号

作家・コラムニスト&インフルエンサー。1990年生まれ。
X(旧Twitter)にて、フォロワー数10万人超のインフルエンサーとして日常の愉快な話や、人々や社会とのコミュニケーションの関わり合いの手法を発信。聡明かつ鋭い視点と分析力に富んだ意見で、多くの企業・メディア・働く若年男女層の評価を得ている。
その実像は都内のコンサルティング会社に勤務する、現役のコンサルタント。
大手上場企業に対するSNS活用コンサルティングサービスの提供や、SNS活用セミナー登壇など多くの実績を擁する。
2020年より、タウンワークマガジン(リクルート社)へのコラム掲載や、株式会社ヴィレッジヴァンガードコーポレーションとのコラボレーション商品の開発販売等を実現し、自著『「お話上手さん」が考えていること 会話ストレスがなくなる10のコツ』をKADOKAWA社より発売。

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