――「SDとして見た2017年」について、どんな印象をお持ちでしょうか?
小川 SDとして過ごした3年間。神宮球場で行われる試合はほぼすべてをスタンドから見ました。そうすると、昨年は優勝した15年との差をやっぱり強く感じましたね。
――真中監督の就任1年目でセ・リーグを制覇した15年と、96敗を喫した17年とは、どのような点で大きな差を感じたのでしょうか?
小川 人間なので、勝っているときと負けているときとでは気持ちの持ち方が違うのも、やむを得ないとは思います。優勝した15年は、みんなが優勝に向かって一致団結していました。みんながすごく生き生きとしていました。でも、言葉は悪いけれども、去年の選手たちは「ただ試合をこなしているだけ」にしか見えなかった。それは強く感じました。
――SDの目から見て、選手たちの覇気のなさや勝負に対する執着心の欠如などが感じられたということですね?
小川 はい。もちろん、言葉では誰もが「最後まで一生懸命に戦う」と言っているし、その言葉にウソはないと思います。でも、人間ですから、あれだけ負けが込むと、実際に15年とはまったく同じような気持ちでプレーはできなかったと思うんです。我々は入場料をいただいて野球をするプロですから、自分の技術を売るのは当然です。でも、さらにお客さまに喜んでもらえるプレー、チームの勝利も届けなければならない。その点では物足りなかった。それが、スタンドから見ていて、強く感じたことでした。
――改めて、昨年の「敗因」は何だったとお考えですか?
小川 「故障者が多かった」ということはよく指摘されていますよね。それも確かに低迷の原因でしょう。ただ、それを理由にしてもいけないと思うんです。故障の原因というのは、1.コンディショニング不良によるもの、2.死球や自打球などの外的要因によるもの、3.オーバーワークの3つに大別できますが、そもそもプロとしては「1」のコンディショニング不良は絶対にあってはならないこと。
――コンディションに関しては選手自身の自覚の問題であり、防げるものですよね。
小川 はい。そして、「2」の外的要因、つまり死球や自打球、打球を追った際の選手同士による衝突などは、防ぎようがないものです。そして、「3」のオーバーワークについては、我々起用する側が、きちんと選手のコンディションを把握していれば防げる部分もある。ただ、ケガについてはヤクルトに限った問題ではなく、他球団も同じくらい故障者は出ているんです。それが去年の場合は主力選手に続出したこと、そしてそれを埋める控えの選手層が薄かったことで、ああいう結果になったんだと思うんです。
――そうであるならば、今季は選手の自覚をさらに促し、首脳陣は選手の調子をきちんと見極めた上で、控え選手の底上げを図るということが重要となりますね。
小川 そうです。そのつもりでキャンプに取り組んできましたから。昨年は故障者が目立ちましたけど、球団としては12年からコンディショニングサポートグループという組織を立ち上げて、選手の体調管理に細心の注意をしています。そして、今年からは神宮球場のクラブハウスに厨房を作って、栄養士の指導による食事管理を徹底するようにしました。これからも、防げる故障は必ず防ぐべく、フロントともに対策をしていくつもりです。