――セットアッパーからシーズン途中でクローザーに転向した今季の石山投手の活躍ぶりは、本当にすごかったし、頼もしいものでした。
小川 すごかったですね。交流戦の時期に、パ・リーグのバッターたちが、「石山はいいよね」と言っていたと聞きました。本人の耳に入っていたのかどうかはわからないけど、彼自身もあの交流戦の頃には大きな自信をつかんだ気がします。前回僕が監督をしていたときに石山はルーキーで、抑えをやっていました。でも、15年には先発を任されていました。彼の場合、先発向きなのか、抑え向きなのかは、まだはっきりとはわからないのですが、今季に関して言えば、チーム全体を考えたときに、彼にはクローザーを任せたいと考えました。
――今季のペナントレースにおいて、印象に残っている試合、分岐点となった試合はありますか?
小川 うーん、すべての試合が分岐点だった気がします(笑)。ただ、印象に残っている試合と言えば、マツダスタジアムで石山が打たれた試合ですかね。
――8月23日の対カープ戦ですね。9回表を終えて8対5とリードしていたものの、この回からマウンドに上がった石山投手が4失点でサヨナラ負けを喫しました。
小川 石山がああいう形で打たれて、実はその後、「このままズルズルいかなければいいのだが……」とすごく心配しました。でも、そこから落ちることなく、石山も、チームも、何とか持ち直すことができた。あの試合はやっぱり印象に残っています。以前の石山は、抑えた場面などで、意外と大きな声を出していたんですけど、今年は淡々としていました。セルフコントロールができるようになっていたのかもしれません。それも、彼の成長だと思います。この頃からすでに、石山も、近藤(一樹)も、登板過多でした。でも、この状況が野手の気持ちにも大きく影響した気がします。
――どのような影響を与えたのでしょう?
小川 野手の間から、「石山一人に頼りすぎないように頑張ろう」とか、「リリーフ陣を楽にさせよう」という声がよく出てきました。彼の頑張りは、チームに好影響をもたらしましたね。
――さて、最後に先日のドラフト会議について伺います。ワインレッドのネクタイをして臨んだ会議当日。1位指名した大阪桐蔭高校・根尾昂選手をくじで逃してしまいました。あの時の心境を教えてください。
小川 今年のドラフトは11球団が高校生野手を1位指名という異例の事態でした。だから、抽選は覚悟していました。くじ引き順位は最後だということはわかっていたので、「最後まで当たりくじが残っていてほしい」と思っていたけど、残念でしたね(笑)。大阪桐蔭・藤原(恭大)君を引き当てたのが、最後にくじを引いたロッテ・井口(資仁)監督でしたよね。同じ会議で「最後のくじが当たる確率」は高くないと思っていたので、井口が当てたときはイヤでした(笑)。でも、1位で獲得した清水昇投手も即戦力投手なので、楽しみにしています。