ちゃんと働いているのに、なぜかずっとしんどい

「ちゃんと働ているのに、なぜかずっとしんどい」――心と体をじわじわエグる〝静かな過負荷〟の正体

「休めばいい」という考え方は少し雑

 

「休めばいい」


それは、間違っていません。
でも、少し雑です。

本当に見たいのは、休んだ時間ではなく、休む前の状態に戻れたかどうかです。

ここでは、それを「ベースラインに戻る」と言ってみます。
いつもの自分の落ち着いた状態のことです。

会議が終わった。
パソコンも閉じた。
席も立った。

でも、呼吸は浅いまま。
肩は上がったまま。
頭の中では、さっき言えなかった一言がまだ回っている。

この状態で次の予定に入ると、休んでいない神経の上に、また負荷が加わります。
ここで役に立つのは、「自分はいま、どの型に近いか」を見ることです。

追いかけられ型は、予定に追われ、話すスピードが速くなり、疲れているのに止まれない状態です。
必要なのは「区切り」。会議後すぐスマホを見ず、息を長く吐き、次にやることをひとつだけ決める。

夜間再生型は、布団に入ると、明日の予定や返していないメールが勝手に流れ出す状態です。
必要なのは「外に出すこと」。寝る前に気になることを三つだけ紙に書き、「今夜やることではない」と線を引く。

電池切れ型は、寝たはずなのに朝から重く、何かを楽しむ前にまず横になりたい状態です。
必要なのは「回復の優先」。予定を足さず、刺激を減らし、朝に少しだけ外の光を浴びる。

同じ「疲れた」でも、戻り方は違います。
神経は、言葉よりも入力に反応します。

呼吸を変える。
視線を変える。
手を止める。
肩を下ろす。

そうやって、体に「もう次の戦いに行かなくていい」と伝えることも、休むことの一部です。

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まず、自分の「戻り方」をひとつ選ぶ

 

もう少し補足してみます。先述したように、静かな過負荷に気づいたら、根性を出す前に、ベースラインへの戻り方をひとつだけ選んでみます。

追いかけられ型なら、必要なのは「区切り」です。
会議後すぐスマホを見ず、息を長く吐く。
次にやることを、ひとつだけメモする。
未来に引っ張られた神経を、いまの体に戻すことです。

夜間再生型なら、必要なのは「外に出すこと」です。
布団に入る前に、気になることを三つだけ紙に書く。
その横に「今夜はやらない」と線を引く。
布団を、反省会場にしないための小さな閉店作業です。

電池切れ型なら、必要なのは「充電」です。
予定を足さない。
刺激を減らす。
朝、5分だけ外の光を浴びる。
元気を出すより、まず減ったものを戻します。

大事なのは、完璧に整えることではありません。
今日のしんどさに合わない努力を、これ以上重ねないことです。

名前をつける。
型を見る。
戻り方をひとつ選ぶ

それだけで、しんどさは「我慢するもの」から「扱えるもの」に少し変わります。

 

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プロフィール

三宮孝太
三宮孝太

作業療法士・修士。北海道の急性期病院で23年、のべ5万人の「働く人」のリハビリに関わってきた。働きながら身体を壊した人、心が動かなくなった人、彼らの人生に何度も伴走するうちに、なぜ真面目に働いている人ほどしんどさを抱え込んでしまうのかという問いに直面する。それをきっかけとして2026年、株式会社DIALOGを設立。企業の健康経営支援と、個人のコンディションを整えるウェルネス事業を通じて、「働きながら、自分を取り戻せる社会」を目指す。noteでは「3ちゃん|ごきげんナビゲーター」名義で、「しんどさ」をほどく言葉を日々綴っている。

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