1つめは、「小さなことを大切にする」です。
男性に多いのですが、雑談が苦手な人は、日常の小さなことを大切にしないようにして生きてしまいがちです。
よく言えば、より大きなことの優先順位を上げて生きているとも言えるのですが、雑談をするときには、自分にとって大きいか小さいかという物差しは捨て去る必要があります。
奥さんの話を、「この話は自分にとっては小さいこと、どうでもいいこと」と思ったときには、自らに問い直さなければいけません。「奥さんにとっては小さいことだろうか?」という観点で話を聞く姿勢が重要なのです。
雑談が苦手な人は、とりとめがなかったり、結論が出なかったりする雑談を「小さいこと=どうでもいい話」と思いがちで、雑談そのものを楽しめません。
・その話は前に聞いた
・またその話?
・解決策は?
・いつまでその問題で悩んでいるの?
そんな言葉が次から次に浮かんできて、雑談を雑談として楽しめず、問題があるなら解決したくなりますし、目標にするならゴールを決めたくなりますし、問題解決に向かわない、ゴールに向かわないなら、どうでもいい話として聞く気がなくなってしまうのです。
夫婦の間の雑談を大事にしようという意識のある我が家でも、次のような出来事がありました。
私も奥さんも二人そろって、ミュージシャンの米津玄師さんの大ファンです。昨年念願のライブに行くことができ、登場からずっと感動しっぱなしで、素晴らしいライブでした。そのため「次のライブも絶対に行きたいね」と話しているのですが、言うまでもなく米津玄師さんは日本屈指の人気を誇るアーティスト。ライブに行くには抽選を勝ち抜かなくてはいけません。
CDを買うと抽選権が手に入ります。どうしてもライブに行きたい奥さんは、「どうしたら抽選で当たるのか」について熱心に話してきます。「CDを何枚買うべきか?」「それで当たるのか?」「どの会場のどの日程だと当たりやすいのか?」といったことを、それこそ毎日話してくるのです。いったん話し合って決めたことも、「やっぱりこっちのほうがいいかな」と迷って相談してきたりします。
もちろん、私も大好きなミュージシャンなので関心がないわけではないのですが、仕事で疲れているときに何度も同じ相談をされると「もういいでしょ」という気持ちになり、「ごめん、もうその話はやめてくれ」と拒絶したくなってしまいます。実際それに似た言葉を言ってしまったこともあります。
ですが、こうした雑談は会話をすることそれ自体が目的であって、問題解決をすることはあまり意味がありません。私の雑談力が低すぎるため、雑談を楽しめていないのです。
雑談が苦手な人は、こうしたとりとめのない話をされたとき「どうでもいい話」として適当にあいづちを打って聞き流すか、「もうやめてくれ」と拒絶してしまいがちです。話を拾ったり、話題を広げて盛り上げることをしていません。
これでは奥さんとの関係性は深まっていきません。どうでもいい話、小さいことと思ってしまうようなことをいかに大切にできるか。ここがスタートです。
2つめは、「相手の好きなことを話題にする」です。家庭ではなく、私の本業は組織開発のコンサルティングでのことなのですが、相手の好きなことを雑談の話題にすることで、相手の態度が大きく変わるという出来事がありました。
私が、とある会社の研修を継続的に行うことになったときのことです。その研修の初回、ずっとうつむいて苦痛そうに参加している女性がいました。気になって声をかけると、彼女は集合型の研修が苦手で、人とディスカッションしたり、意見交換することが好きじゃないとのこと。なぜかというと、かつて、地獄の特訓的な研修を受けたことがあり、それがとても嫌な体験だったらしく、集合研修を受けるとそのときの記憶がフラッシュバックしてつらくて仕方がないのだというのです。
ただ、「話は聞いているし、大切なことだと思うので、大丈夫です」と研修の場にはそのまま参加していました。
初回の研修が終わって、会場から空港まで車で送ってくれるという話になりましたが、なんと、その苦痛そうに受講されていた女性が送ってくれることになりました。
そうして、研修会場から空港までの三十分くらい会話することになったのですが、社内の雑談の中で、彼女がアニメ好きであることがわかり、今ハマっているアニメの話をしてくれました。そのアニメのどこが好きで、何が面白いポイントなのかを聞いてみると、研修のときからは想像もできないくらいイキイキと教えてくれます。
それ以来、彼女に教わったアニメを観るようにして、研修で会うたびに話題にしていたら、子どもと一緒に作ったコスプレのコスチュームを見せてくれるようになったりしました。
そんなふうに雑談を重ねることで、私と彼女の間に関係性ができてきました。すると、どういうわけか、彼女の受講姿勢が変化し、聞くだけに徹していた研修に積極的に参加できるようになっていったのです。
彼女の研修への態度に変化が生まれたのは、私の研修の内容と進め方がよかったのではありません。彼女の好きな話題で雑談しただけです。私が彼女の興味に寄り添おうとした分、彼女も私の研修に寄り添おうと頑張ってくれたのだと思います。
これは、家庭内での奥さんとの雑談でも活かせると思います。奥さんの好きなことを話題にすると雑談自体が盛り上がるだけでなく、徐々に夫である自分にも理解を示そうとしてくれるようになるかもしれません。
実際に、私の奥さんにも好きな話題があり、それは米津玄師だったり、美容だったり、旅行だったり、スーパーの野菜の値段だったり、大好きな息子のできごとだったりするのですが、彼女の好きなことを、同じくらいの熱量で調べ、話題にしていくと、ものすごく盛り上がるだけでなく、私へも同じように理解を示そうとしてくれるようになってくれていると感じます。