2020ヤクルト 高津流スワローズ改革!

監督に求められる資質は、
素早い「決断力」と意見をまとめる力

瞬時の判断力が求められる選手用兵

――「想定通りにいかないこと」とは、たとえばどんなことですか?

高津 一番難しいのはピッチャーの継投、リリーフ陣の起用法ですね。先制して中押し点も奪って、勝ちパターンの継投であれば、もちろん計算は立てやすいです。でも、たとえリードしていても、「もしもこのピッチャーが無事に抑えた場合は……」「ここで同点に追いつかれたら……」「一気に逆転されたとしたら……」など、いくつものパターンをシミュレーションした上で、その日までの連投日数、各々のコンディション、相手打者との相性など、さまざまな要素が絡み合っていくつもの継投パターンがあります。それを試合展開に応じて瞬時に判断、決断していく。それは本当に難しいです。

――さまざまなシチュエーションを想定する際には、当然、ネガティブな結果も考えておかねばなりませんよね。

高津 もちろんです。グラウンドで頑張っている選手には申しわけないけど、「ここで打たれたら……」という想定をしておかないと、次に打つ手が遅れてしまいますから。今まで「継投」の話をしましたけど、それは「攻撃」でも一緒です。「次に誰を代打に送り出すか……」「彼の代わりに誰を守らせるか……」「この打者が凡打に終わったら、次に代打を出すか、そのまま打たせるか……」など、いくらでもあります。

――テレビ中継を見ていると、監督の手元にはいつもクリップボードや半分に折りたたまれた白い紙があります。これは選手用兵の際に参考にするリストなのですか?

高津 あぁ、そうです。もちろん、ベンチ内には多くの資料が用意してありますけど、いつも持っているボードや白い紙は両チームのオーダー、メンバー表です。ベンチ内のホワイトボードにも自チーム、相手チームのメンバー一覧は書いてありますけど、手元の紙で確認をしながら、誰を出すか、誰を代えるか、あるいは相手は誰が出てくるのか、誰に代えてくるのかをシミュレーションしています。

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プロフィール

高津臣吾
高津臣吾

1968年広島県生まれ。東京ヤクルトスワローズ監督。広島工業高校卒業後、亜細亜大学に進学。90年ドラフト3位でスワローズに入団。93年ストッパーに転向し、20セーブを挙げチームの日本一に貢献。その後、4度の最優秀救援投手に輝く。2004年シカゴ・ホワイトソックスへ移籍、クローザーを務める。開幕から24試合連続無失点を続け、「ミスターゼロ」のニックネームでファンを熱狂させた。日本プロ野球、メジャーリーグ、韓国プロ野球、台湾プロ野球を経験した初の日本人選手。14年スワローズ一軍投手コーチに就任。15年セ・リーグ優勝。17年に2軍監督に就任、2020年より現職。

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