2021東京ヤクルトスワローズ 高津流 燕マネジメント

悲願のリーグ優勝目前!
強いヤクルトを支える高津マインド「我慢と信頼」

より細心の注意力と観察力が大切に

――7回・今野龍太投手、8回・清水昇投手、9回はスコット・マクガフ投手と、万全のリリーフ陣が本当に踏ん張りました。終盤の過密日程を考えると、起用方法にも頭を悩ませたことと思います。

高津 リリーフ陣に対して、僕の求めるピッチング内容はかなり厳しいと思います。その一方で、コンディション面に関しては「とにかく気を遣わなければ」という思いも持っています。とはいえ、「ここが勝負だ」という場面では多少の無理をしてもらいました。ただ、僕自身の経験から言えば、確かに疲れはあるんです。でも、優勝争いが続く中での登板はやりがいが大きくて、疲れを感じにくいものなんです。だからこそ、起用する側の注意が必要だと思っています。

――監督自身も長年にわたってクローザーとして胴上げ投手となっています。だからこそ、リリーフ陣に対する万全のケアもできるのでは?

高津 もちろん、伊藤智仁ピッチングコーチ、ブルペンは石井弘寿コーチに任せている部分もありつつ、コーチと相談の上で起用は考えています。個人的な経験で言えば、優勝争いの中での登板は感情の高ぶりもあるし、マウンドに立つ喜びもすごく大きい。今年の救援陣を見ていても、そういう思いでマウンドに上がっているんだなというのはすごく感じますね。

――リリーフ陣に限らず、野手陣もまた「積極的休養」を活用しています。選手のコンディションに対してはどのようにケアしているのですか?

高津 トレーナーやコーチ陣との連絡を密にして、今まで以上にきちんと選手たちの体調、精神面をしっかりと観察して、細心の注意を払う必要があると考えています。

――今までよりもさらに、選手たちに対する注意力、観察力が必要になってくるということですか?

高津 そうですね。疲れているのは間違いないですから。疲れているとミスをしたり、ケガをしたりする可能性も高くなる。ただ、さっきも言ったけど、選手たちは疲れ以上に充実感のある戦いを楽しんでいるはずです。試合に臨むときも目がギラギラしているし、ベンチからの声もよく出ているし、負けていても、「まだ逆転できる」というムードもありますから。こうしたムードを大切にしつつ、コンディションにも気をつけつつ。そんなイメージです。

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プロフィール

髙津臣吾
髙津臣吾

1968年広島県生まれ。東京ヤクルトスワローズ監督。広島工業高校卒業後、亜細亜大学に進学。90年ドラフト3位でスワローズに入団。93年ストッパーに転向し、20セーブを挙げチームの日本一に貢献。その後、4度の最優秀救援投手に輝く。2004年シカゴ・ホワイトソックスへ移籍、クローザーを務める。開幕から24試合連続無失点を続け、「ミスターゼロ」のニックネームでファンを熱狂させた。日本プロ野球、メジャーリーグ、韓国プロ野球、台湾プロ野球を経験した初の日本人選手。14年スワローズ一軍投手コーチに就任。15年セ・リーグ優勝。17年に2軍監督に就任、2020年より現職。

著書

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

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髙津臣吾 /
2021年、20年ぶりの日本一へとチームを導いた東京ヤクルトスワローズ髙津臣吾監...
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