2021東京ヤクルトスワローズ 高津流 燕マネジメント

チーム全員が一丸となって必死に戦っている
だから「絶対に勝たせてあげたい」

2020シーズン、未曽有の事態に見舞われる中で、リーグ最下位という悔しい結果に沈んだ東京ヤクルトスワローズ。今季は心機一転、投手陣の補強を最優先に掲げ、再起を誓う。
昨シーズンを踏まえ、「今年はさらに厳しくいく」と宣言する2年目の高津監督は、新戦力が加わった新たなスワローズをどのように変革し、リーグ制覇を目指していくのか。
本連載では、今年もインタビュアーに長谷川晶一氏を迎え、高津監督の組織論から、マネジメント術、若手育成術まで余すところなくお届けしていく。

(インタビュアー:長谷川晶一)

――いよいよ、勝負の10月を迎えました。残り20試合を首位で通過した今、なおも熾烈な戦いが続いています。今はどんな心境でしょうか?

高津 1試合、1試合、常に全力で目の前の試合を戦う。そのスタンスはずっと変わりません。10連戦が終わり、その後も6連戦がずっと続いています。精神的に追い詰められることもあるけど、どんな苦しい中でも戦わなければいけない。そして、結果を残さなければならない。本当に大変な日々です。でも、この土俵に上がれるという幸福感を忘れちゃいけない。その土俵に上がるまでの精神面も含めたしっかりとした準備をした上で、目の前の戦いに臨みたいという思いでいます。

――今シーズン、ここまでの躍進の要因として、投手では20歳の奥川恭伸投手、打者では21歳の村上宗隆選手が目覚ましい活躍を見せています。投打の両輪となっている若い選手たちについてお聞かせください。

高津 奥川に関しては「これぐらいできて当然だ」という思いと、非常にここまで順調に来ているので「このままいけるのかな? このままいってほしいな」という思いの両方がありますね。いつも言っているように、ヤス(奥川)については結果が伴うに越したことはないんだけど、結果よりも育成。彼の成長のためを思って、ここまでやってきています。

――確かに奥川投手について、「今年ではなく、その先を見据えている」と、監督は常々発言されていますね。

高津 彼がこの先、あと10年、15年、それとも20年後も現役を続けていく中で、そのときに生きてくるための時間。それが今なんだと思います。彼にはそれだけのポテンシャルがある。だから今、目先のことだけではなく、その先を考える必要がある。責任があると思っています。現状、目の前の階段を一つ一つしっかりと踏みしめながら上っている。それは、本人も、僕も自覚できている成長段階にあると思いますね。

――一方、プロ4年目を迎えた村上宗隆選手についてはどう見ていますか?

高津 史上最年少でプロ通算100号ホームランを打っていますが、正直、僕としてはパッとしない印象ですね(笑)。

――「パッとしない」とはどういう意味ですか?

高津 「パッとしない」というのは適切な表現じゃないけど、「まだ100号か」という思いや「そりゃそうだろうな」という思いですね。すばらしい記録であるのは間違いないけど、僕らは何発も目の前でムネ(村上)のホームランを目の当たりにしているので、そんなに驚きはなくて、「当然だよな」っていう印象なんです。

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プロフィール

高津臣吾
高津臣吾

1968年広島県生まれ。東京ヤクルトスワローズ監督。広島工業高校卒業後、亜細亜大学に進学。90年ドラフト3位でスワローズに入団。93年ストッパーに転向し、20セーブを挙げチームの日本一に貢献。その後、4度の最優秀救援投手に輝く。2004年シカゴ・ホワイトソックスへ移籍、クローザーを務める。開幕から24試合連続無失点を続け、「ミスターゼロ」のニックネームでファンを熱狂させた。日本プロ野球、メジャーリーグ、韓国プロ野球、台湾プロ野球を経験した初の日本人選手。14年スワローズ一軍投手コーチに就任。15年セ・リーグ優勝。17年に2軍監督に就任、2020年より現職。

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