2021東京ヤクルトスワローズ 高津流 燕マネジメント

リーグ制覇へ向けて奮い立つ選手たち
その裏には、高津監督の「言葉」があった

2020シーズン、未曽有の事態に見舞われる中で、リーグ最下位という悔しい結果に沈んだ東京ヤクルトスワローズ。今季は心機一転、投手陣の補強を最優先に掲げ、再起を誓う。
昨シーズンを踏まえ、「今年はさらに厳しくいく」と宣言する2年目の高津監督は、新戦力が加わった新たなスワローズをどのように変革し、リーグ制覇を目指していくのか。
本連載では、今年もインタビュアーに長谷川晶一氏を迎え、高津監督の組織論から、マネジメント術、若手育成術まで余すところなくお届けしていく。

(インタビュアー:長谷川晶一)

――阪神タイガース、読売ジャイアンツとの激しい首位争いが続いています。残り30試合を切った今、ここまでの現状をどのように見ていますか?

高津 チームとしても、選手個人としても、すごく成長を感じながら過ごしているというのが、率直な心境ですね。高校野球でも、当初はあまり評価されていなかったチームが、トーナメントを勝ち上がっていくにつれて、どんどん強くなっていく。そんな感じです。……まだシーズン中なんで、あんまりほめ過ぎるのもよくないけど、いろいろな面で成長を感じながら、毎日を過ごしています。

――現在は10連戦の真っ只中です。10月はずっと6連戦が続きます。肉体的、精神的疲労も、これからピークに達することが予想されます。

高津 チームのムードは去年とは全然違います。それはもちろん勝っているから、今、この位置にいるからというところがとても大きいです。心の中は燃えていますから、その点は今のところは気にしていません。自分たちは意識していなかったけど、去年は心の奥底から熱くなれなかったゲームもあるかもしれない。でも、今年は心の底から燃えるゲームが続いています。その点は大きな違いです。

――さて、今回は「力を与える言葉」という点について伺いたく思います。9月7日の試合前のミーティングが球団公式ホームページにアップされました。選手たちを前に、1993(平成5)年日本シリーズ第7戦の試合前に野村克也さんが話した「勝負は時の運だ」という言葉を紹介していました。このタイミングで、このエピソードを選手たちに話した意図を教えてください。

高津 「今このタイミングで、この話をしよう」という具体的な思いがあったわけではないですけど、「選手たちが硬くなったり、緊張するようなことがあれば、どこかでそれをほぐすための言葉をかけてあげなくちゃいけないな」ということは、以前から考えていました。あのタイミングがよかったのかどうかはわからないけど、「伝えなくちゃいけないことはあるな」とはずっと思っていました。

――あのミーティングの最後には「オレたちは絶対大丈夫だ」「絶対に崩れない」と力説されていました。これは、今監督が一番伝えたいこと、訴えたいことなんでしょうか?

高津 そうですね。まずは「勝って浮かれることなく、負けてしり込みすることなくあろう」ということを伝えたかった。その上で「常に前向きに予習をして復習をして、明日も頑張ろう」ということを伝えたかったんです。その思いを込めたのが「絶対大丈夫」という言葉で、僕なりの表現になりました。

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プロフィール

高津臣吾
高津臣吾

1968年広島県生まれ。東京ヤクルトスワローズ監督。広島工業高校卒業後、亜細亜大学に進学。90年ドラフト3位でスワローズに入団。93年ストッパーに転向し、20セーブを挙げチームの日本一に貢献。その後、4度の最優秀救援投手に輝く。2004年シカゴ・ホワイトソックスへ移籍、クローザーを務める。開幕から24試合連続無失点を続け、「ミスターゼロ」のニックネームでファンを熱狂させた。日本プロ野球、メジャーリーグ、韓国プロ野球、台湾プロ野球を経験した初の日本人選手。14年スワローズ一軍投手コーチに就任。15年セ・リーグ優勝。17年に2軍監督に就任、2020年より現職。

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