2021東京ヤクルトスワローズ 高津流 燕マネジメント

僕もチームも「勝利」だけを信じて戦った――
M3の大敗から優勝の瞬間まで、高津監督が見ていたもの

2020シーズン、未曽有の事態に見舞われる中で、リーグ最下位という悔しい結果に沈んだ東京ヤクルトスワローズ。今季は心機一転、投手陣の補強を最優先に掲げ、再起を誓う。
昨シーズンを踏まえ、「今年はさらに厳しくいく」と宣言する2年目の高津監督は、新戦力が加わった新たなスワローズをどのように変革し、リーグ制覇を目指していくのか。
本連載では、今年もインタビュアーに長谷川晶一氏を迎え、高津監督の組織論から、マネジメント術、若手育成術まで余すところなくお届けしていく。

(インタビュアー:長谷川晶一)

――10月26日、ついにセ・リーグ優勝を決めました。本当におめでとうございました。さて、歓喜の瞬間から10日ほど経過しました。改めて、現在の心境を教えてください。

高津 これから、クライマックスシリーズがあり、日本シリーズを控えているので、本当はそれじゃあいけないのかもしれないけど、優勝を決めて数日間はホッとしたというか、精神的にリラックスしていたというのが率直なところですね。これからクライマックスシリーズの対戦相手が決まると、そんな気持ちではいられないとは思いますけど。

――ここから11月末までは日本シリーズも含めて、まだまだ激戦が続きますからね。

高津 正直言えば、「パ・リーグがどう」とか、「日本シリーズをどうする」ということは、今はまだ頭にはないです。もちろん、スコアラーさんには「こんなデータがほしい」「こういう点を調べてほしい」という要望は出しているけれど、今はまだ「クライマックスシリーズを勝ち上がること」に集中しています。相手が阪神になるのか、巨人になるのかはわからないけど、「とにかくCSを勝ち抜くぞ!」という思いが強いです。

――さて、10月20日の対阪神戦でマジック3としてから、しばらくの間足踏み状態が続きました。チームとしても、11失点を喫する大敗が3試合続きました。この間の心境はいかがでしたか?

高津 タイガースの戦いが気にならないと言えばウソになります。でも、僕自身としては「タイガースは負けない」と思っていました。だから、「とにかく我々が勝つしかない」という思いしかなかったです。とはいえ、この間の試合内容があまりいいものではなかったので、重い空気というか、そういう状況になってしまったのかなという感じはします。

――9月から10月中旬までの快進撃があったので、なおさら停滞状況が際立っていたように感じられました。

高津 でも、うちの場合は負けてもガクッと引きずるようなチームではないので、そこまで暗くなったり、悲観的になったりはしていなかったと思いますね。僕自身も「勝つしかない」という思いだったし、「今日は負けても、明日勝てばいい」という考えでした。タイガースがずっと負けなかったけれど、「腹をくくって勝負するだけだ」と思っていたので、自分では平常心を保てていたとは思いますけどね。僕は元々、張りつめた緊張感とか、そういう状態は嫌いじゃないので、「楽しめた」と言うと語弊があるかもしれないけど、それに近い気分ではいましたね。

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プロフィール

高津臣吾
高津臣吾

1968年広島県生まれ。東京ヤクルトスワローズ監督。広島工業高校卒業後、亜細亜大学に進学。90年ドラフト3位でスワローズに入団。93年ストッパーに転向し、20セーブを挙げチームの日本一に貢献。その後、4度の最優秀救援投手に輝く。2004年シカゴ・ホワイトソックスへ移籍、クローザーを務める。開幕から24試合連続無失点を続け、「ミスターゼロ」のニックネームでファンを熱狂させた。日本プロ野球、メジャーリーグ、韓国プロ野球、台湾プロ野球を経験した初の日本人選手。14年スワローズ一軍投手コーチに就任。15年セ・リーグ優勝。17年に2軍監督に就任、2020年より現職。

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