園田樹生(中島歩)と、瀬尾咲子(蒼井優)がたまたま、そのコインランドリーで出合う。お互いにバス事故の犠牲者同士ということで面識があった。園田は息子の翔(しょう、久保田薫)と二人分の洗濯物を抱えてきた。咲子は、自宅の洗濯機の調子が悪くなったからだった。
とりとめのない話をした後に、咲子が帰る際に園田が咲子に向かって言う。
「あなたの旦那さんは、うちの妻と不倫をしていました」と。
園田の妻・あずさと咲子の夫・充がコインランドリーで親しげに話しているのを、園田が目にしていたのだった。しかも、あずさは夫の園田に行先も告げずに、信州を目指していた。
咲子にとっては、驚きしかない「不倫」という言葉だった。しかも、園田と同じように夫の充がなぜ信州に行こうとしていたのか、告げられていなかった。
あえて「生方文学」と呼んだ、彼女の脚本は舞台設定と美しいセリフが胸を打つのである。
園田(中島)と咲子(蒼井)は、近所やコインランドリーでお互いのパートナーについて、話し合ううちに距離が縮まっていく。パートナーの秘密もわかってくる。園田の保育園に通う翔もすっかり、咲子になじんでいる。
園田は、子どものころに家族で水族館に遊びにいって、暗い所で迷子になり、母親から「来たいと言ったのはあんたでしょ」と、しかられたことから水族館が嫌いである。咲子は少女時代に花火大会の人ごみの中で、痴漢に遭ったのに一緒にいった少年に優しい言葉をかけてもらえなかったので、花火大会が嫌いである。
ところが、園田は、妻のあずさの残した本のページの間から2枚の水族館のチケットを見つける。かたや、咲子も充の服のポケットから大嫌いな花火大会の「カップル席」2枚のチケットを見つける。
本ドラマの舞台設定の魅力のひとつが、園田と亡くなった妻のあずさ(夏帆)、そして、咲子と失踪した充(松山ケンイチ)が、それぞれ夫婦同士で会話をするシーンである。
ベッドに横たわるようにして、あずさが現れて、園田に問いかける。
「翔には、わたしが死んだことをいった? まさか、夜空のお星さまになったとか……」
「いいや、ちゃんといったよ。ママは帰ってこないって」
咲子の失踪した夫・充(松山ケンイチ)は、密かに自分の喫茶店の経営を任せている、矢野直人(高橋文哉)と連絡を取り合っていた。バスの事故から1年が経ち、矢野は咲子に店の手伝いを頼み、「電話に出てくださいね」と、いいおいてバックヤードに姿を消す。
電話は、充からだった。受話器を握る咲子(蒼井優)を正面からカメラはとらえて、長まわしつまりカメラを止めない圧巻のシーンである。
事故の直後に喫茶店の電話をたまたま咲子がとって、「ごめんね」と一言だけ充の声を聴いた。咲子は次に電話があった時には、自分のどこに非があったのか、夫婦に戻るにはどうしたらよいのか、聴くつもりだった。しかし、そんな気持ちは吹き飛んで、園田に寄り添う言葉が口をついて出るのだった。
「なんで(園田の妻)あずささんを連れて行ったの? 知っていると思うけど、事故があって死んじゃったんだよ。答えがでなくて苦しんでいる人がいるんだよ。(園田と)わたしたちと内緒でどこにいこうとしてたの? 園田さんのこと、6歳の子ども、来年小学校。大切なお子さんを残して、なんで(あずさと)一緒だったの?」
「もういい。わかった。結婚する時に約束したんだよね。お互いに言いたくないことは言わないでもいいって決めたもんね」
「さっちゃん」と、充。「元気そうでよかった。元気でいてね」と続ける。