なぜ今、コオロギをごり押し?ゴキブリはダメ?食料危機の救世主となるのか

なぜ今、コオロギの普及が急速に進んでいる?
原田義昭氏

 敷島製パン(PASCO)のコオロギ粉末入りパンやバウムクーヘン、徳島県小松島市内の県立高校の給食室で出されたコオロギ粉末を入れた「かぼちゃコロッケ」の試食など(食べるか否かは選択できる)、昨今はコオロギ市場が熱い。

 しかし、インターネット上では「エコで良い」「畜産動物の犠牲が減る」という賛成派と、「グロテスクで気持ち悪い」「衛生面が心配」「絶対に食べたくない」と反対派もおり、賛否両論だ。

 かねて「食料危機に備えて、昆虫食を推進しよう」という動きはあったが、なぜ「コオロギ」なのか。

 河野太郎デジタル大臣は去年2月、徳島県のベンチャー企業のイベントに登壇した際に食用コオロギ養殖のグリラスが提供する「乾燥コオロギとミックスナッツあえ」を試食し、「美味しい」とコメントした。

 1年以上も前のことだが、インターネット上では「河野太郎が試食したから」「新しい利権か」など、コオロギ推進は政治的な陰謀論であるとの批判の声も多い。それに対して河野氏はツイッター上で「もう1年以上前のスタートアップ企業を支援するイベントの記事が最近やたらとツイートされてるのなんでかな」と困惑し、「疲れるww」とあきれている。

 元環境大臣の原田義昭氏に取材したところ、「私はコオロギに限らず、昆虫食は『環境を破壊しにくい』という点で、一つの食材として良いと思います。コオロギなら海老みたいな感覚で食べる方もいるのではないでしょうか」との見解を示す。

 確かに、コオロギを食べた多くの人から「エビ風味」「えびせん風味」だという感想を聞く。

「私は専門家ではありませんが、衛生面に配慮して飼育をすれば、(アレルギーを持った方や妊婦さんは別として)健康上は問題ないと聞きますし、むしろ家畜みたいに化学肥料を食べていない『天然』の食材になるのではないでしょうか。途上国ではすでに流通していますし、先進国でも取り入れて良いと思います」(原田氏)

 国連食糧農業機関(FAO)の報告書によると、2050年には世界人口が90億人にも増えることが予測され、昆虫は食糧危機に備える貴重な食糧になり得るという。すでに世界各国では、20億人が190種以上の昆虫を食べているそうだ。日本にも昔からイナゴのつくだ煮、ハチの子、ザザムシ、セミの幼虫などの昆虫食があった。

 FAOの報告書によると昆虫食の利点は、
(1)タンパク質や良質の脂肪・繊維質・必須ミネラルに富む。
(2)繁殖力が強い上に餌が少なくて済み、飼育が容易。
(3)温室効果ガスもあまり出さないので、環境負荷が少ない。
とのこと。

 また、昆虫は他の家畜と比べ、必要な餌や水の量が圧倒的に少ないため、限りある資源の有効活用が可能だ。そして一定の環境条件が整えば、場所を問わずどこでも繁殖できるため、大規模な土地を必要とせず、既存の建物でも繁殖できる。さらに、地球温暖化の一因といわれる畜産由来の温室効果ガスについても、昆虫はガス排出量が少ないため、環境負荷の低いタンパク源といえる。

 昆虫食のなかでもコオロギはすでに中国や台湾、ベトナム、ラオス、アフリカ南部など多くの国々でスタンダート食として流通している。昆虫食で有名なタイで特に人気のある昆虫がコオロギで、養殖システムが流通している。

「ただ、抵抗のある方、慣れていない方もいらっしゃるので、いかに『美味しい味付けにするか』が課題かと思います。(それでも食べたくない人もいるので)あくまで、一つの食材として増えたら面白いと思いますね」(原田氏)

「コオロギは栄養豊富な次世代タンパク質です。コオロギは豊富なタンパク質に加え、亜鉛、鉄分、カルシウム、マグネシウム、ビタミン、オメガ3、食物繊維も多く含まれております」(30代女性、都内在住、栄養士)