ベリーベスト法律事務所、フジCMを継続する理由「広告料は返還されない」

「安易にAC広告に差し替えるべきではないと考えております」

 そうしたなかで注目されているのが、前述のベリーベスト法律事務所代表の酒井将氏によるXポストだ。そこで23日にBusiness Journalが同事務所に見解を問い合わせたところ、その数時間後に「本日HP上に弊所見解を掲載いたしました」という回答がよせられ、以下コメントが公式サイト上に掲載された。

<このたび、当事務所がテレビコマーシャルを放送しているフジテレビについて、一連の対応が社会的責任を負う報道機関として問題があった旨の内容が報じられています。
そのような状況において、当事務所がフジテレビでのテレビコマーシャルの放送を継続していることにつき、ご依頼者様および関係者の皆様に多大なるご心配をおかけしておりますことを深くお詫び申し上げます。

 多くのナショナルスポンサーがテレビコマーシャルをAC広告に差し替えているところではありますが、当事務所は、引き続き差し替えを行わない意向です。といいますのも、当事務所のテレビコマーシャルは、主としてB型肝炎給付金請求・アスベスト健康被害給付金賠償金請求という国の制度の告知を兼ねております。集団予防接種等の際に注射器が連続使用されたことが原因でB型肝炎ウィルスに持続感染した方々の被害救済のための広告、あるいは、建設現場や工場においてアスベストを吸入したことにより健康被害が生じた方々の被害救済のための広告であって、極めて公共性が高いものです。とりわけ、B型肝炎給付金請求・アスベスト健康被害給付金賠償金請求の制度は、医師ですら知らないこともあり、被害に苦しむ多くの方々が制度を知らず、補償を受けられないままでいます。

 したがって、被害者の方々への告知を行き届かせて、被害の救済を広く進めるためにも、安易にAC広告に差し替えるべきではないと考えております。また、AC広告に差し替えたとしても、既にフジテレビに支払われた広告料は返還されませんので、広告を放送し続けることがフジテレビの支持につながるわけではありません。

 以上の諸事情を総合考慮し、当事務所のテレビコマーシャルは放送を継続いたしますので、ご依頼者様、関係者の皆様におかれては、ご理解いただきますようお願いします>

 すでにスポンサー企業の間ではフジテレビに対して広告料金の返還を求めることを検討する動きも出ていると報じられているが、広告代理店社員はいう。

「個別の契約によって契約条件・内容は異なるが、一般的にCMを放送予定だった番組の放送回数が減ったり放送自体がなくなった場合には費用を減額すると明記されていると思われる。しかし今回のように、フジの不祥事を原因としてスポンサー企業側がCM放送の中止を申し入れるという事態は契約書上は想定されていないだろう。よって、両者が協議して減額を検討することになるが、フジの不祥事が直接的な原因なので、100のうち40しか放送されていないとなれば、それに応じて減額しましょうという流れになるのではないか」

(文=Business Journal編集部)