中村氏はそのビジネスモデルの核心を語るが、通常、家具が消費者の手に届くまでの道のりは長い。企画、デザイン、製造、輸入、卸売、小売と多くのプロセスと中間業者が介在し、それぞれの段階で手数料が上乗せされる。これが最終的な価格を押し上げる要因となる。しかし、CAGUUUは自社で企画・デザインした商品を、選定した中国の協力工場に直接発注。製造された商品はそのまま消費者に届けられる。この徹底した垂直統合とサプライチェーンの最適化こそが、「高品質・低価格」を両立させる秘訣なのだ。
さらに、このモデルは、市場のトレンドや消費者のニーズに迅速に対応できるという強みも持つ。通常、家具の企画・製造には長いリードタイムを要するが、ODM工場との密接な連携により、デザインの変更や新商品の投入サイクルを短縮できる。これにより、常に最新のトレンドを反映したデザイン性の高い家具を、タイムリーかつ手頃な価格で提供することが可能になる。“家具業界の革命児”という表現は、まさにこの「品質」「デザイン」「価格」の三位一体を指し示しているといえるだろう。これは、まさに物流テック企業がサプライチェーンの非効率を解消しようと挑むのと同様の、デジタル技術を駆使したサプライチェーン改革の一環ともいえる。
このビジネスモデルは、従来の家具業界の常識を覆す。既存の家具メーカーが抱える、複雑なサプライチェーン、大量の在庫リスク、そして高コスト体質といった課題を、CAGUUUは根本から解消する。これにより、消費者はこれまで高嶺の花だったデザイン性の高い家具を、より気軽に、そして迅速に手に入れられるようになる。これは、単なる価格競争ではなく、家具の「買い方」そのものを変える、破壊的なイノベーションなのだ。
CAGUUUの野望は、個人消費者向け市場(BtoC)にとどまらない。彼らの描く未来は、日本の家具市場全体、さらにはグローバル市場の再編にまで及ぶ。
「将来的に、世の中の家具ニーズはニトリとIKEA、そして我々CAGUUUだけで十分になると考えています。個人向けのニーズは全てカバーできる。さらに、日本中のデザイナーやプロ向けにもサービスを普及させ、BtoB市場も全面的に開拓したい」
特に注目すべきは、彼らがBtoB領域への挑戦だ。大手デベロッパーの新築マンションモデルルームにお手頃な価格でおしゃれで高品質な家具を提供し、購入者がそのモデルルームと同じ家具を一括購入できるようにするサービスは、不動産業界における家具調達の常識を覆すものだ。たとえば、従来おしゃれな高級家具だと500万円かかっていたコーディネートが、CAGUUUと組めば80万円に収まる可能性があり、BtoB市場における価格破壊と効率化を同時に実現する、圧倒的な競争優位性を示す。これは、パートナー企業への「負担ゼロ」に近い価値提供といえるだろう。
このアプローチは、新築だけでなく中古マンションのリフォーム市場にも適用可能だ。リフォームと家具の一括提案により、消費者は手間なく理想の住空間を実現できる。また、ホテル、レストラン、オフィスといった法人向け領域への展開も視野に入れる。これらのBtoB市場では、複雑な中間業者を排したD2Cモデルにより、コストパフォーマンスの高い家具を直接提供できる。これは、特に初期投資を抑えたいスタートアップ企業や、デザイン性とコスト効率を両立させたい中小企業にとって、非常に魅力的な選択肢となるだろう。
またCAGUUUは3Dプランニングサービスを提供しており、プロのインテリアコーディネーターが、お客の要望に基づき3Dシミュレーションで理想の空間を提案する。家具の配置イメージを具体的に再現し、インテリア選びをサポートできるのが特長だ。自宅から無料で相談可能なMyCoordiも今後建築デザイナーやインテリアデザイナーへ提供開始する予定。?