AI時代のエンタメビジネスはビッグチャンス!今こそクリエイターは起業すべき

――IVSと関わるようになったきっかけを教えてください。

中村氏 2023年に京都でIVSが開催された時に、「IVS Sandbox」という企画を持ち込んだのが始まりです。スタートアップスタジオを運営する上で、常にこれから起業しようとする個人との出会いを求めています。IVSという濃密な空間であれば、そういった人々が集まり、多くの面白いプロジェクトが立ち上がるのではないか、という思いから企画を持ち込みました。今年も、エンタメエリアのチーフディレクターを務めつつ、「IVS Sandbox」も継続しています。

 IVSに「エンターテインメント」という専門エリアが設けられること自体、数年前には考えられませんでした。ディープテックやAIといった注目度の高い分野と並んでエンターテインメントが配置されることは、とても光栄だと感じています。

――ご自身は、エンターテインメントとスタートアップの組み合わせに、どのような面白さや可能性を感じていますか。

中村氏 私はStudio ENTREを2020年から運営していますが、当初よりエンタメ領域でスタートアップを始めやすくなっていると感じています。日本のコンテンツ産業はスタートアップに限らず、非常に規模が大きく、国全体で大きくしていく意識があります。また、最新技術が最初に取り込まれるのがエンタメだと言われることも多く、そこがスタートアップがエンタメに挑戦することの相性の良さにも繋がっているのだと思います。

――日本のエンタメコンテンツは海外での人気も高いので、グローバル展開しやすい側面はありますか。

中村氏 日本のエンタメはすでに海外で受け入れられている領域なので、スタートアップにも大きな可能性があります。大きなIPの方が海外展開が進むことが多いですが、VTuberのようにスタートアップ業界から世界中に広がるエンタメも増えており、今後も新しいエンタメが生まれ続けていくはずです。

 日本国内では既に多くの人々がエンタメを楽しんでいるため、市場の急拡大は起きづらいかもしれません。しかし、地球規模で見た時には、経済発展とともにエンターテインメントを楽しむ人々は増えており、日本発のグローバルエンタメスタートアップも大いに期待できると思います。

IVS Entertainmentが目指すもの:大企業とスタートアップ、そしてクリエイターの融合

 今年のIVSでは、AI、エンターテインメント、ディープテック、グローバル、ジャパン、シード、Growthという7つのテーマゾーンが設置される。各テーマに沿った革新的なスタートアップと投資家との出会いを促進するのが目的だ。

 そのなかで「IVS Entertainment」エリアでは、アニメ、ゲーム、漫画、音楽、体験、映画、アートといった日本の豊かなエンタメコンテンツに焦点を当て、『Go Global』『IP経営』『Creative Founder(起業家自身)』という三本柱をセッションテーマに掲げ、世界を熱狂させるエンタメビジネスの最新トレンドを深掘りする。

 IVS Entertainmentが主な対象者としているのは、以下のとおり。
・エンタメ領域で更なる大きな市場に出ていこうとしているスタートアップ経営者
・エンタメ領域でスタートアップ起業を志す起業家候補
・エンタメ領域でスタートアップとの連携を模索している事業会社
・エンタメ領域の最新分野にて投資先を探索しているVC・CVC

 IVS Entertainmentエリアのチーフディレクターとして、中村氏が特に注力しているのは、エンターテインメント業界の「特殊性」を活かすことだという。