●この記事のポイント
・GoogleのNotebookLMに日本語対応の新機能「Video Overviews」が登場し、長文資料を数分の解説動画に自動変換できるようになった。
・実際に試すと「つかみ」から入る自然な構成や聞きやすいナレーションが特徴で、外注並みの質を短時間で実現できた。
・教育やビジネス、行政など幅広い分野で活用が期待され、情報の伝え方を根本から変える可能性を持つと専門家は語る。
2025年、GoogleのAIノートアプリ「NotebookLM」に日本語版の新機能「Video Overviews(ビデオ・オーバービューズ)」が追加され、注目を浴びている。
膨大なレポートや複雑な資料を数分の動画にまとめ、日本語のナレーション付きで解説してくれる。まるで経験豊富なプレゼンターが資料を紹介してくれるような体験が、ワンクリックで実現するのだ。
今回は、システムエンジニアの伊藤朝輝氏に、この新機能を実際に試した感想や活用の可能性について話を聞いた。
●目次
まずNotebookLMについて整理しておきたい。
NotebookLMはGoogleが提供するAIベースのノートアプリである。ユーザーがPDFやドキュメントをアップロードすると、その内容をAIが理解・整理し、要約や質問応答、洞察の提示といったサポートを行う。
「AIを自分専用のリサーチアシスタントとして使う」イメージに近い。従来のAIチャットと異なり、アップロードした資料に特化して答えてくれる点が特徴だ。
今回、そのNotebookLMに加わったのが「Video Overviews」である。
伊藤氏はこの機能を次のように説明する。
「NotebookLMにアップロードした資料をもとに、AIが自動で解説動画を作ってくれます。単なる要約ではなく、スライドを整理し、日本語ナレーションを加えて、見て理解できる形式に変換してくれるんです」
長いレポートを「読む」のではなく「見る・聞く」で理解できるのが大きな利点といえる。
また動画だけでなく、音声解説やマインドマップといったアウトプットも選択可能だ。読む・聴く・全体構造で把握する――複数のアプローチを使い分けられる点で、従来のAI要約よりも応用範囲が広がっている。
伊藤氏は厚生労働省の約40ページにおよぶPDFをアップロードし、Video Overviewsを試した。結果は以下のとおりだ。
・生成時間:約10分
・出力された動画:約8分
「驚いたのは、資料をただ順番にスライド化するのではなく、冒頭で“つかみ”を入れてから、重点部分を掘り下げていたことです。まるで人間が“ここを押さえておけば大丈夫”と意識して構成したような自然な流れでした」
特筆すべきはナレーションである。
「単調さがなく、抑揚や間の取り方が自然で、まるで経験豊富なプレゼンターがフランクに話しかけてくる印象でした。一般的な解説用途なら、この親しみやすさはむしろプラスだと思います」
外注でナレーションを依頼するとコストも時間もかかるが、AIが即座に提供できる点は大きな進化といえる。