●この記事のポイント
・『鬼滅の刃』が全世界で948億円を突破し、東宝とソニーGの連携による“日本発グローバルヒット”モデルが確立。
・ソニーG傘下アニプレックスが映画・ゲーム・音楽を一貫展開し、多チャンネル戦略で世界市場を席巻。
・ソニーGは映像・音響技術とクロスオーバー戦略を軸に、半導体売却後の新たな成長領域としてエンタメ事業を強化へ。
ソニーグループ(ソニーG)と東宝が手を組んだ映画『鬼滅の刃』は、2025年に公開された映画の中で世界トップ5にランクインし、全世界興行収入は948億円に達する大ヒットを記録した。この成功は偶然の産物ではなく、ソニーGのアニプレックスを中心とした戦略的なメディア展開と、東宝の映画配給における長年の経験が生み出した奇跡的なシナジーによるものだ。
『鬼滅の刃』の背後には、ソニーGが進めるマルチメディア戦略や、映画、ゲーム、音楽を一体化させたクロスオーバービジネスモデルが存在する。本稿では、その成功の背景に迫り、今後の展開についても深掘りしていく。
●目次
ソニーGと東宝は、それぞれ異なる強みを持ちながらも、その協力によって業界に革命をもたらした。ソニーGは、アニメや映画、ゲーム、音楽など複数のメディアをまたいだ事業展開を得意とし、特にアニプレックスというアニメ制作・配信の巨頭を所有している。アニプレックスは、過去に『鬼滅の刃』のアニメ版を制作した実績があり、その後、映画化に向けた戦略を推進した。
一方、東宝は映画制作と配給の老舗企業であり、国内外での映画ヒット作を数多く生み出してきた。『鬼滅の刃』の劇場版もその一つで、映画業界における強力なネットワークとプロモーション力が、この作品の成功に貢献した。ソニーGと東宝の連携は、単に映画を制作するだけでなく、ゲームや音楽といった異なるメディアで展開することで、総合的なビジネスモデルを形成している。
『鬼滅の刃』は、ただのアニメ映画にとどまらず、ソニーGが推進する多メディア戦略の象徴となる作品だ。アニプレックスが手掛けたこの映画は、ソニーGの映画事業の一環として、アニメの制作から映画公開、さらにその後のゲーム展開までを一貫して推進してきた。
アニプレックスは、ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)の子会社であり、アニメ制作だけでなく、音楽や映画、さらにはゲームの開発に至るまで幅広く展開している。そのため、アニプレックスは『鬼滅の刃』において、アニメ放送から映画化、さらにはゲームの発売に至るまで、一貫したメディアミックス戦略を実施。これにより、映画公開前後のメディア展開を最大化し、ファンを獲得することに成功した。
アニメから映画、ゲーム、音楽、グッズに至るまで、ソニーGは多チャンネル展開を行い、映画『鬼滅の刃』の世界的な成功に大きく貢献した。
ソニーGの戦略は、単一のメディアに依存することなく、映画、ゲーム、音楽など複数のメディアをつなげるクロスオーバービジネスモデルにある。この戦略の中心に位置するのは、ソニーGが所有するアニプレックスや、ゲーム分野での大手プレイヤーであるソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)だ。
『鬼滅の刃』は、その映画化に留まらず、PS5向けゲームとしてもリリースされ、ゲームの売上が映画の成功をさらに後押しした。映画のストーリーやキャラクターをゲームに反映させることで、ファンは映画の世界観を新たな体験として楽しむことができ、逆にゲームの売上が映画の認知度を高めるという、まさに相乗効果が生まれた。