世界の7割は中国製、電池産業で日本は復活できるのか…全固体×水素×再エネに光明

 二つ目は「全固体電池での主導権確保」。量産化が誰にとっても難しいからこそ、日本企業が成功すれば圧倒的な優位性を得る。EV市場のルールそのものを書き換えるポテンシャルがある。

 三つ目は「水素×電池の複合戦略」だ。水素燃料電池とバッテリーのハイブリッド化は、長距離トラックや建設重機など、CO?削減が難しい領域で需要が高い。ここは欧米も中国もまだ本格参入できておらず、日本にとってブルーオーシャンに近い。

 そして四つ目は「再エネの安定化で不可欠な蓄電池市場」。太陽光発電が増えるほど、余剰電力の貯蔵と安定供給の仕組みが必要になる。この大型蓄電池市場は今後急成長が見込まれる領域で、品質重視の日本製電池に追い風が吹きやすい。

生活者にとって“電池の進化”は何をもたらすのか

 電池技術は、一般生活者の暮らしにも直接影響する。たとえば全固体電池が普及すれば、EVの航続距離は大きく伸び、充電への不安は劇的に減る。家庭用蓄電池が安価になれば、太陽光パネルと組み合わせて電気料金を大幅に抑えながら、停電にも強い“自家発電の家”が普及するだろう。

 ペロブスカイト太陽電池の普及はさらに大きな変化をもたらす。家の壁や窓、カバンや衣服までが発電装置になる未来が見えており、街中が“発電ネットワーク”になる可能性がある。フィジカルAIと呼ばれる産業ロボットの普及も、物流コストの低下や建設の生産性向上を通じて、私たちの生活の根底に影響を及ぼす。

 電池の進化は、エネルギーの価格、暮らしの安全、社会インフラの在り方まで変えてしまう──そうした転換点に、今の私たちは立っている。

日本はまだ“勝てる産業”を持っている

 EV向け電池では中国勢が圧倒している。量産力、価格競争力、サプライチェーンの強さ──これらで日本が勝つのは簡単ではない。しかし、電池市場はEVだけで決まるものではない。高性能・高信頼性の領域、全固体電池、ペロブスカイト太陽電池、水素燃料電池…。日本は未来のエネルギーインフラを左右する技術の源泉を複数持っている。

 世界の電池市場はまだ成長の途上にあり、勝負はこれからだ。そして技術で戦える産業をいくつも持っている国は、それほど多くない。「ニッポンの電池」が再び世界を席巻する未来は、十分に現実味を帯びている。

(文=BUSINESS JOURNAL編集部)