「実質国有化」ラピダス、3兆円投入+債務保証8割…JDIの二の舞or奇跡の逆転劇

Q3:TSMCやサムスンに「技術的に追いつけない」という指摘については?

A: 確かに実績では雲泥の差があります。しかし、ラピダスは先行他社のような「あらゆるチップを大量に作る」モデルではなく、特定の高度なAIチップなどを「短納期で少量多品種作る」ブティック型のファウンドリを目指しています。先行他社と同じ土俵で戦うのではなく、最新の技術(2nmやガラス基板)を用いた「尖ったサービス」としてニッチな需要を掴めるかどうかが、生き残りの焦点です。

Q4:もし事業が失敗した場合、どうなるのですか?

A: 国が8割の債務を保証しているため、事業が破綻すれば、民間銀行の損失の大部分を税金で補填することになります。JDIなどの前例では、赤字を垂れ流しながら公的資金で延命する「ゾンビ化」が批判されました。ラピダスの場合、これまでの投資額が数兆円規模と桁違いであるため、失敗した際の国民負担や産業界へのダメージは比較にならないほど巨大なものになります。

Q5:結局、ラピダスに「未来」はありますか?

A: 「技術開発」の未来は明るいですが、「ビジネス」の未来はまだ五分五分です。試作成功はあくまで「スタートライン」に立ったに過ぎません。2027年までに、高額な最先端チップを買ってくれる「大口顧客(米IT大手など)」を具体的に何社確保できるか。技術力の証明以上に、その「営業・マーケティング力」が試されることになります。

(文=BUSINESS JOURNAL編集部)