住宅ローン、8割が選ぶ「変動金利」の大変動…メガバンク10年固定金利は3%超

 しかも、これは「これ以上の利上げがない」という前提の計算だ。日本経済研究センターのESPフォーキャスト調査(エコノミスト約40名対象)によると、変動金利のベースとなる政策金利は2026年12月末までに1.0〜1.1%まで上昇するとの予測が中央値となっている。現在の0.75%からさらに利上げが続く想定であり、変動金利で組んだ世帯の家計見直しは待ったなしの状況だ。

住宅ローン控除「逆ザヤ」の終焉と借り換えの現実

 かつて一部の借り手が享受した「住宅ローン控除で借りているだけで得をする」という逆ザヤの時代も過去のものになりつつある。ローン残高の0.7%が控除されるが、適用される変動金利が1%を超えた時点でその恩恵は実質的に消失する。

 一方、固定金利への借り換えを検討する声も増えているが、現状では「タイミングの難しさ」が立ちはだかる。2026年5月の10年固定金利はおおよそ2.6〜3.1%台が相場となっており、一部では3.4〜3.5%台と高めの水準も見られる。

「今から固定に乗り換えると金利を高値でつかむリスクもある。一方でさらに上がった場合のリスクも無視できない。判断に迷う借り手が急増しているのが実情です」(都市銀行の住宅ローン担当者)

「金利2%上昇でも回せる額」で組む時代へ

 では、これから住宅購入を検討する人はどうすればよいか。専門家が口をそろえるのが「審査通過額ではなく、ストレス耐性のある借入額で組む」という原則だ。

 フラット35など全期間固定金利は、2026年5月時点で2.71%(前月比+0.22%)まで上昇している。変動金利との差は依然として大きいが、「金利リスクをヘッジするコスト」として捉えれば、家族構成や収入の安定度によっては合理的な選択肢になりうる。

 前出の田中氏はこう指摘する。

「住宅ローンは単なる借金ではなく、インフレ環境下では固定金利は一種のリスクヘッジです。インフレが続けば実質的な返済負担は軽くなる側面もある。大切なのは、今の金利水準で買うべき物件かどうかの判断です。価格が落ちない立地の物件と、売れなくなるリスクを抱えた物件の分岐点は明確に出てきています」

家計を「経営」する視点を持て

 2026年5月時点で変動・固定の金利差は年1.63%あり、「変動金利が1.63%以上上昇し続けるなら固定有利」という分岐点が存在する。単純な金利比較だけでなく、自身のライフステージ・収入の安定性・繰り上げ返済余力を複合的に判断することが不可欠だ。

 住宅ローンは「借りられる額」ではなく「金利が2%上昇しても家計が回せる額」で設計する——この原則は、超低金利時代には机上の空論に見えた。しかし今、それは現実のリスク管理として機能しはじめている。

 20年間の「金利のない時代」が家計の判断力を鈍らせた側面は否定できない。だが、局面は変わった。住宅ローンをひとつの「長期契約」と見なし、複数シナリオでシミュレーションを行う姿勢こそが、これからの時代に問われる金融リテラシーだ。

(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=田中真一/ファイナンシャルプランナー)