「脱・中国レアアース」はどこまで可能か…住友鉱山・双日が東南アジアへ照準

 もう一つの「脱中国」軸として見逃せないのが、代替技術の開発だ。国内外の自動車・電機メーカーが進める「レアアースフリーモーター」の技術開発は、需要サイドからの依存低下を促す補完的戦略として極めて重要である。調達多様化(サプライ側)と技術革新(ディマンド側)の両輪を同時に進めることが、最も合理的なリスクヘッジとなる。

「クリーンな供給網」という新たな競争優位

 東南アジアを軸とした今回の動きは、単なる「中国リスクからの逃避」ではない。より長い時間軸で見れば、ESG基準に準拠したクリーンなサプライチェーンを確立することは、EV・半導体・防衛産業において欧米市場から要求されるサプライチェーンの透明性・環境適合性への対応でもある。

 欧米では、中国産レアアースを回避した「グリーン・サプライチェーン」に対するプレミアム評価が高まりつつある。環境負荷の低い精錬プロセスと産地のトレーサビリティを確立した日本発の供給体制は、価格競争力ではなく品質・信頼性での差別化を可能にする武器となり得る。

 中国依存度60%からの脱却は一夜にして達成されるものではない。しかし住友金属鉱山の増産、双日とライナスの重希土類への踏み込み、南鳥島の深海探査——これらの動きが積み重なることで、日本のレアアース安全保障の地図は確実に塗り替えられつつある。問われているのは、目先の価格よりも「供給が止まったとき何が失われるか」を問い続ける、長期的な戦略眼だ。

(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=佐伯俊也/エネルギー政策研究家)