英BP「山形沖撤退」検討の衝撃…世界で失速する洋上風力、日本勢を待つコスト地獄

コスト増加分は最終的に誰が負担するのか

 洋上風力事業のコストが計画から膨らんだ場合、それを吸収する仕組みとして固定価格買取制度(FIT)や、市場価格に一定のプレミアムを上乗せするFIP制度が存在する。しかし、建設費や調達費の増加が制度上の想定を超えて拡大すれば、最終的な負担は電気料金を通じて国民や企業に転嫁されかねない。エネルギー政策の専門家の間では、単純な発電原価(LCOE)だけでなく、系統安定化のための火力バックアップや送電網増強、補助金なども含めた総合的なコスト(FCOEなどと呼ばれる考え方)で評価すべきだとの指摘もある。

 欧州や米国の大手企業が経済合理性を優先して洋上風力事業からの撤退や縮小を選ぶ一方、日本は依然として高い導入目標を掲げ続けている。カーボンニュートラルの実現やエネルギー自給率向上という政策目標自体は理解できるものであり、洋上風力が持つポテンシャルを否定するものではない。

 ただし、国際的な資材価格や金利動向、為替の影響を受けやすい大型インフラ事業である以上、当初の事業計画が崩れるリスクは常につきまとう。BPの撤退検討が示したのは、日本の洋上風力事業が「儲かる」ことを前提に組み立てられてきた計画の見直しを迫られているという現実だ。今後、国内事業者だけで事業を継続していく上では、コスト増加分をどのように配分し、誰がどこまで負担するのかについて、透明性のある議論を積み重ねていくことが求められる。過大な期待にも過度な悲観にも偏らず、実態に基づいた冷静な検証が今、必要とされている。

(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=佐伯俊也/エネルギー政策研究家)