第12回 髙津監督が、自身の「退任」を語る―― 「野球人としてこれ以上ない幸せを味わえた」
2025.09.12
東京ヤクルトスワローズ 髙津流マネジメント2025
「出資を検討する側から見れば、原発が動いているかどうかだけでなく、動いた後にどれだけ安定的にキャッシュを生み出せるかが評価の核心になる。足元のように電力販売量の減少や燃料高が経常利益を大きく振らす状況が続けば、出資条件の交渉は東電にとって厳しいものにならざるを得ない」(同)
以上を整理すると、東電の収益改善が原発再稼働だけでは実現しない理由は、大きく三つに整理できる。第一に、安全対策費の膨張により、再稼働そのものが生み出す収益改善効果が過去の想定より目減りしていること。第二に、電力自由化によって流出した顧客基盤の回復には、単純な発電コスト改善以上の営業努力とコストが必要であること。第三に、福島第一原発の廃炉・賠償という特殊要因が、通期の最終損益を継続的に圧迫し、資本提携交渉における東電の評価を難しくしていることである。
もっとも、これは東電が置かれた状況の「行き詰まり」を意味するものではない。むしろ、複数の投資ファンドや異業種企業が提携協議のテーブルに着いている事実は、東電の成長投資(再生可能エネルギー、送配電網、データセンター向け電力供給など)に対する期待値の高さを示してもいる。今後の焦点は、柏崎刈羽の7号機を含めた原発の稼働状況がどこまで安定するかに加え、廃炉・賠償という制度的な重荷を、国の支援フレームワークの中でどう整理し、資本提携の条件交渉にどう反映させていくかにある。原発再稼働は東電再建にとって欠かせない要素ではあるが、それだけで業績のV字回復が約束されるわけではない、という構造を、今回の決算は改めて示したといえるだろう。
(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=佐伯俊也/エネルギー政策研究家)