すき家・松屋に続きココイチも深夜7%加算…客離れしない“強気価格”チェーンの共通点とは

導入初期にはSNS上で反発の声が上がることもあるが、これまでのところ、深夜料金の導入が既存チェーンの客数に致命的な打撃を与えたと確認できる事例は乏しい。「深夜料金は悪」という受け止め方から、「深夜に温かい食事を提供してもらうことへの正当な対価」という受け止め方へと、消費者側の意識も徐々に変化しつつあるようだ。

コストを隠さず「正当な価値」として示す時代へ

深夜料金をめぐる一連の動きは、単発の値上げニュースというより、外食業界が抱える構造的な課題の表れとして捉えるべきだろう。最低賃金の引き上げペースが今後も続くと見込まれるなか、深夜帯の人件費上昇は一時的な現象ではなく、恒常的なコスト要因として業界に定着しつつある。企業側にとっては、深夜料金を導入するかどうかだけでなく、その水準や適用範囲をどう設計し、消費者にどう説明するかが、ブランドの信頼を左右する分岐点になっていく可能性がある。

内容量を減らして単価を据え置く、いわゆる「ステルス値上げ」は、消費者に気づかれた際にブランドへの信頼を損ないやすい。これに対し、深夜料金のように「何にいくら払っているのか」を明示する価格設定は、短期的には反発を招く可能性があっても、長期的にはブランドの説明責任を果たす手段になり得る。

ココイチが踏み切った「テイクアウトへの深夜料金適用」は、深夜帯のコストが店内飲食か持ち帰りかを問わず等しく発生するという、外食ビジネスの構造的な事実を消費者に開示する試みでもある。すき家や松屋の先行事例が示すように、この種の価格転嫁が直ちに客離れへ直結するとは限らない。今後、深夜営業を続ける他の外食チェーンや中食業態にも、同様の価格設計が広がっていく可能性は高いと見られる。

「値上げの是非を論じる段階から、“何にいくら払うか”を消費者と共有する段階へ、業界全体が移りつつある。今後は深夜料金そのものよりも、その使途をどれだけ具体的に説明できるかが、チェーンごとの信頼度を左右するだろう」(同)

(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=杉田誠/外食産業コンサルタント)

【主な参考データ・出典】
株式会社壱番屋「深夜料金の導入および一部トッピング価格改定に関するお知らせ」(2026年8月28日) 
・日本経済新聞「ココイチ、深夜料金7%上乗せ 9月1日から午後10時以降」 
・Yahoo!ニュース(テレビ朝日系ANN)「ココイチが9月から深夜料金を導入 注文に7%加算 トッピング12種類を平均17%値上げ」 
・ダイヤモンド・チェーンストアオンライン「壱番屋、深夜料金導入=物価高で7%加算」 
・foodrink.co.jp「ココイチ、深夜料金7%導入 採用広がるが、吉野家は未だ」(2026年8月) 
・ITmedia ビジネスオンライン「すき家『深夜料金導入』から一カ月、客離れは起きていない?」 
・日本経済新聞「松屋フーズ、深夜料金7%加算『牛めし』は30円値上げ」 
・日本経済新聞「最低賃金の全国平均1176円に 26年度目安、55円引き上げ」
・ITmedia ビジネスオンライン「なぜ、3年で4回も値上げしたココイチが好調なのか 客単価1000円を突破」