すき家・松屋に続きココイチも深夜7%加算…客離れしない“強気価格”チェーンの共通点とは

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CoCo壱番屋の店舗(「Wikipedia」より)

●この記事のポイント
カレーハウスCoCo壱番屋は2026年9月1日、22時〜翌5時の注文に深夜料金7%を導入する。店内飲食に加えテイクアウトも加算対象とする異例の措置で、ポークカレーは646円から691円に。トッピング12種も平均17%値上げした。すき家・松屋に続く動きで、深夜営業の人件費・光熱費高騰という外食業界共通の課題を映す。

 株式会社壱番屋は8月28日、「カレーハウスCoCo壱番屋」の国内店舗において、2026年9月1日から深夜料金制度を導入すると発表した。22時から翌5時までの注文について、店内飲食・テイクアウトの両方に7%を加算する。同時に、既存トッピング44種のうち12種を平均17%(11〜60円、税込11〜60円)値上げする。看板商品「ポークカレー」は通常646円だが、深夜帯に注文すると691円になる計算だ。なお、宅配サービスは今回の深夜料金の対象外とされている。

 ここで注目したいのは二つの点だ。第一に、ココイチはすでに客単価が1,200円前後に達している「強気価格」チェーンである。値上げの余地が乏しいとも見えるタイミングで、なぜ深夜料金という新たな負担を消費者に求めるのか。第二に、深夜料金を店内飲食だけでなくテイクアウトにも適用するという判断だ。持ち帰りには接客も着席スペースの提供もない。それでも加算するという決定は、外食チェーンの深夜営業コスト構造そのものが限界に近づいていることを映し出している。

●目次

なぜ今、深夜料金なのか――人件費と固定費の二重の圧力

 外食チェーンが深夜料金という選択に至った背景には、二つの構造的な要因がある。

 一つは人件費だ。労働基準法は22時から翌5時までの労働に対し25%以上の深夜割増賃金の支払いを義務付けている。これに加え、厚生労働省の審議会は2026年度の最低賃金引き上げの目安を全国平均1,176円(前年度比55円増)とし、過去2番目の引き上げ幅を示した。深夜帯の時給は「基本時給の上昇」「深夜割増」「地域別最低賃金の引き上げ」という三重の押し上げ圧力にさらされている。

もう一つは光熱費や物流費など、深夜営業そのものを維持するための固定費だ。ここ数年、外食業界では24時間営業から撤退する店舗が相次いだ。その結果、なお深夜営業を続ける店舗は、コストを価格に転嫁する段階へと移行しつつある。

ココイチにとって深夜帯は、仕事帰りの単身者や小腹を満たしたい層が集中する時間帯であり、収益性そのものが低いわけではない。営業時間を短縮して需要を手放すより、「7%の上乗せを受け入れてもらいながら営業を維持する」ほうが合理的だという判断が透けて見える。

「深夜営業は“開いているだけ”では成立しなくなっている。人件費と固定費が同時に上昇するなかで、時短ではなく価格転嫁を選ぶチェーンが増えるのは自然な流れだ。重要なのは、値上げ分が何に使われているのかを企業がどれだけ丁寧に説明できるかだろう」(外食産業コンサルタント・杉田誠氏)

「1,000円超え」でも客が逃げない構造

ココイチは2022年から2024年にかけて複数回の値上げを重ねてきた。2022年6月に5.9%、同年12月に7.4%、2024年8月には10.5%という大幅な値上げを実施している。2024年8月の値上げ後は客数が前年を下回る月が続いたが、客単価の上昇分がそれを上回り、既存店売上高は平均6.4%増となった。会社全体では5期連続増収・3期連続増益を記録し、今期は6期ぶりに過去最高益を更新する見込みだという。