大成建設、ゼネコン不況でも「利益率17%」の舞台裏…“脱・新築”でストック収益化

「大成建設の事例は建設業に固有の話ではなく、成熟市場における普遍的な経営課題への回答例と見るべきだ。新規顧客の獲得コストが高止まりする局面では、既存資産の再活用によるLTV最大化こそが、業種を問わず確実な収益源になる」(同)

不確実性時代における「確実な収益軸」の確立

 大成建設の取り組みは、単に「地味な改修工事へのシフト」と片づけられるものではない。資材高騰と労働力不足というマクロ環境の構造変化に対し、価格転嫁の遅れという時間リスクをコントロールできる事業領域へ経営資源を集中させた、洗練されたポートフォリオ改革として理解すべきだろう。

 もっとも、17%という利益率目標はあくまで報道ベースの将来目標であり、2026年3月期時点の建築事業全体の営業利益率は6.1%にとどまる。改修へのシフトが実際に全社収益をどこまで押し上げるかは、今後の決算で継続的に検証していく必要がある。それでも、変化が激しく先行きの見通しが立てにくい現代において、企業が資源を投じるべき対象は「不確実な巨大案件」だけではなく、「手元にある資産――データや既存顧客との関係――を活かした確実な収益化」であるという示唆は、業種を問わず重みを持つ。大成建設の改修シフトは、その一つの実証例として注目に値する。

(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=秋田智樹/不動産ジャーナリスト)

【主な参照データ・出典】
大成建設2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
【TAISEI VISION 2030】達成計画・中期経営計画(2024-2026)策定について(大成建設公式IR)
非住宅リニューアル市場に関する調査を実施(2026年)(矢野経済研究所)
「2024年問題」で6割の企業が「マイナス」影響(東京商工リサーチ)
ゼネコンの物価スライド獲得状況について|2024年版(archi-book)
建設コストの高騰とその要因について 2025年(野村不動産ソリューションズ)
リニューアル ― 既存建物に価値を(大成建設 Technology & Solution)