個人資産の「3層構造」への移行
こうした流れを整理すると、個人の資産配置は次第に3つの層に分かれつつあるとみることができる。
まず日常決済層として、給与振込や公共料金の引き落としに使う普通預金。次に流動性貯蓄層として、みずほの貯蓄預金やネット銀行の普通預金のように、いつでも引き出せながら相対的に高い金利がつく口座。そして長期運用層として、新NISAやiDeCo、定期預金など、時間をかけて増やす・固めることを目的とした資産である。
「かつては『普通預金に置いておけば安心』という発想が主流でしたが、金利差が可視化されるようになったことで、生活費・当面使わない資金・長期運用資金を分けて管理する発想が、ビジネスパーソンの間でも徐々に浸透していくと考えられます」(同)
「口座放置」というコストへの気づき
企業が運転資金の効率的な配置に神経を使うのと同様に、個人にとっても「どの口座に、いくら置くか」は、金利のある世界では無視できないテーマになりつつある。みずほの貯蓄預金復活は、金額的なインパクトだけを見れば大きな話ではない。しかし、それがメガバンク・ネット銀行・地域金融機関それぞれの顧客獲得戦略に影響を及ぼし、ひいては個人の資金配置の見直しを促す一つのきっかけになる可能性は十分にある。
「メインバンクに資金を置きっぱなしにする」という従来型の行動が当たり前ではなくなりつつあるいま、今回の動きを一つの手がかりに、自身の資金の置き場所を点検してみる価値はありそうだ。
(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=川﨑一幸/金融アナリスト)
【主な参照データ・出典】
みずほ貯蓄預金 | みずほ銀行
みずほ銀行 貯蓄預金キャンペーン
みずほ銀行の貯蓄預金が16年半ぶり復活|smart-moneylife
資金循環統計(26年1-3月期)|ニッセイ基礎研究所
資金循環統計からみる家計金融資産の現状|大和総研
政策金利1.00%への引き上げ|第一生命経済研究所