6000万IDの購買データを武器に…伊藤忠・ファミマ・ドコモ・CA「4社連合」が狙う次の市場

 これだけデータを起点に生活者の行動へ関与する領域が広がれば、その使い方をめぐる倫理観も問われることになる。社内に哲学や倫理を担う人材を置く考えはあるか、との問いに、国立氏はこう答えた。

「そうした知見を持つ人材は、今後採用していく必要があると思っています。同時に、環境が人を育てると思っていて、データで可視化したものを実際にやってみたらどうだったか、というPDCAを回せる環境を我々が持ち続けることが、一番大事だと思っています」

 最後に、データを活用する思考をこれから身につけたいビジネスパーソンに向けて、一言をもらった。

「お客さんが本当に何を求めているかを見ようとすることが、一番大事だと思っています。それが一生活者なのか、BtoBの事業パートナーなのかはわかりませんが、その人たちが本当にありたい姿、今抱えている問題を、まず自分の中で突き止めようとする。そのうえで、どのデータをどう分析するかという手段が決まってくる。顧客起点でしっかり見にいくという思考が、一番大事だと思いますね」

 生データは外に出さない。しかし、そこから引き出した知見は、企業の商品開発や物流にまで届けていく――データ・ワンが目指す「Consumer Intelligence Agency[草井10] 」の輪郭は、データを囲い込むことではなく、預かったデータの解像度をどこまで上げられるかにある。海外の巨大プラットフォーマーがAIエージェントを通じて生活者の意思決定への関与を深めるなか、4社が組んで築いてきたデータ基盤が、日本企業のデータ活用にどこまで新たな選択肢を提示できるのか。その答えは、これからの数年で見えてくる。

(取材・文=昼間たかし)