ガソリン車、世界販売が初めて半分以下に…EV3%の日本でスタンドが半減、どう稼ぐ?

 二つめは商用車だ。ヤマト運輸は2025年6月時点で約4200台のEVを集配業務に使っており、2030年度までに集配車両約4万台の6割に当たる2万3500台へ増やす計画を掲げる。同社は、東日本大震災の際に燃料不足で車両を動かせなかった経験がEVに目を向けるきっかけだったと説明している。脱炭素だけでなく、エネルギー調達の分散という発想がそこにある。

 三つめは国内メーカーの新型車だ。上半期の国内EV販売で首位に立ったのはトヨタ「bZ4X」の1万3777台で、日産の新型「リーフ」が続いた。トヨタはHVを中心とした全方位戦略を維持しつつ、上半期の世界EV販売を前年同期の約2.4倍に伸ばしている。

 もっとも、ガソリンスタンドの経営にとって本質的なのはEVの比率そのものではない。

「日本の燃料需要を減らしてきた主役は、EVよりむしろHVの燃費向上と人口減少です。EVが3%でも、保有車両全体の燃費が良くなれば1台当たりの給油量は確実に減る。スタンド経営者が見るべきなのは、新車の動力別シェアより、自分の商圏で売れる燃料の総量がどう推移するかです」(自動車アナリスト・荻野博文氏)

30年で3万カ所のスタンドが消滅

 資源エネルギー庁によると、2025年3月末の全国の給油所数は2万7009カ所で、前年度から405カ所減った。ピークだった1994年度末の6万421カ所と比べると、約55%の減少になる。

 影響は地方ほど深刻だ。市町村内の給油所が3カ所以下の「SS過疎地」は、2025年3月末時点で381市町村にのぼる。自宅から最寄りの給油所まで15km以上離れた住民がいる市町村も291ある。帝国データバンクの調べでは、2024年のガソリンスタンドの倒産・休廃業は184件で、3年連続で増えた。

 減少の理由は需要減だけではない。埋設から40年を超えた地下タンクへの腐食対策の義務化、経営者の高齢化と後継者不在、人手不足が重なっている。事業承継のマッチングサイトには、後継者不在を理由に売りに出されたスタンドが今も並ぶ。

 一方で、年間の減少数は2010年代前半の1000カ所超から400カ所前後へと鈍ってきている点は冷静に見ておきたい。採算の合わない店舗の整理が一巡し、残った事業者が次の一手を探す段階に入ったと読むこともできる。

「給油所」から「生活インフラ」への組み替え

 業界最大手のENEOSは、資源エネルギー庁の研究会で、本業の給油所で利益が出なければ、ほかの商売で稼いでも本質的な解決にはならないという趣旨の考えを示している。多角化は本業を補うものであって、代わりにはならないという立場だ。

 そのうえで同社が進めるのが、本業の効率化と、給油以外のサービスの組み合わせだ。効率化の面では、2026年2月の消防関連省令の改正で、セルフ式給油所の給油許可をAIが担う仕組みが認められ、導入が始まった。人手不足に悩む現場の固定費を下げる狙いがある。

 組み合わせの面では、コンビニやカフェ、コインランドリーの併設に加え、郵便局などの生活サービスと一体化した店舗も試している。茨城県牛久市では、約2000坪の敷地に複数のサービスを集めた「マイクロモール型」の実証も行われている。

 立地を物流に生かす動きもある。ENEOSと三菱商事は2023年に合弁会社を設立し、給油所で宅配荷物を一時保管して近隣への配送を担う仕組みを実証中だ。2026年4月には、建設機械レンタルのSORABITOと組み、給油所の一角から建設車両を24時間無人で貸し出す実証も始めた。レンタル会社にとっては、土地や人を確保せずに貸出拠点を持てる利点がある。